①金平茂紀さん
②（下）　みなとのもり公園からＪＲ元町駅前までパレードした＝5月3日、神戸市中央区
　憲法施行75年の今年の憲法記念日は、改憲の危機がかつてなく高まるなかで迎えた。ロシアによるウクライナ侵攻の事態に乗じて、「憲法9条で国を守ることはできるのか」など、あたかも憲法9条が武力の前に無力であるかのような右派勢力の煽動と一体に、政権にある党が「敵基地攻撃能力の保有」や「5年以内に防衛費の倍増を」などの危険な主張を平然と行う状況がつくられている。各社の世論調査でも共通して改憲賛成派が増えた。こうしたなか、5月3日は各地で憲法集会が開かれたが、神戸では「総がかり行動兵庫県実行委員会」が主催する「戦争させない、9条壊すな！5．3兵庫憲法集会」が5月3日の屋外集会としては3年ぶりに開かれ、ＹｏｕＴｕｂｅでの配信も併用して約3千人が参加した。
 
　ゴスペルシンガーの新井深絵さんのパワフルな歌から始まった5・3兵庫憲法集会は、おなじみの小山乃里子さんの司会で進められ、まず羽柴修弁護士（9条の心）が主催者あいさつ。「憲法をめぐっては厳しい情勢にあるが、力で戦争を止めることはできない。それがウクライナからのメッセージだ」と訴えた。
　その後、メインスピーカーとしてジャーナリストの金平茂紀さんが登壇。ウクライナでの取材体験に触れ、歴史にも社会にもその前後で状況が全く変わってしまう「切断点」というものがあるが、今回の戦争はそれだとした。そして、ウクライナで見た光景から「これが戦争なんだ。戦争は区別なく人を殺す。どんな理屈をつけても戦争は絶対に起こしてはならない」と力説。さらに、日本国憲法は、大きな犠牲のうえに手に入れた宝物。世界で最先端の法律だ。今、これが空洞化されようとしている。黙っていてはいけない。憲法を守ろうというのは「人を殺すな」ということだとも述べた。また、参院選について、今は後退期で厳しいからこそ小異を捨てよりましな選択を行い、力を合わせていこうと呼びかけた。
　集会では、来賓として立憲野党の参院選兵庫選挙区予定候補の小村潤さん（日本共産党）と相崎佐和子さん（立憲民主党）の代理の井坂信彦衆議院議員がそれぞれあいさつした。
　その後、集会のアピールのアクションとして参加者は一斉に「戦争させない、9条壊すな」のメッセージボードを掲げて、戦争への道と改憲を許さない決意を示し（写真上）、「5・3憲法アピール」も採択して閉会した。
　集会後は五月晴れのなかＪＲ元町駅までをパレードした。