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ブルシット・ジョブがテーマ
訳者の酒井隆史・大阪府大教授が講演
2021社会主義ゼミナールin近畿

2021/07/13
 「2021社会主義ゼミナールin近畿」がコロナ禍のなかの6月27日、大阪の国労大阪会館で開かれ、YouTube配信による視聴をあわせて約100人が参加した。
 昨年の斎藤幸平さんによる「マルクス主義とエコロジー」に続く今回のゼミは、デヴィッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)』をテーマに、日本語版を中心になって翻訳出版した大阪府立大学教授の酒井隆史さんが講演。
 グレーバーはウォール・ストリートのオキュパイ運動などに積極的に関わってきた人類学者だったが、昨年9月に59歳で急死。死因はおそらくコ新型コロナと酒井さんは推測する。講演では、グレーバーの人物や学問的業績を紹介しながら以下のようにブルシット・ジョブをめぐる課題について提起した。
 「ブルシット・ジョブ」とはグレーバーの造語。市場原理主義で効率を何よりも優先しているように錯覚させられている新自由主義は、じつは効率とは逆に、膨大な無駄な仕事(雇用)を増殖しつづけている。雇われている本人でさえ正当化しがたいほど無意味で不必要、有害でさえある仕事だ。だが本人たちはそうではないと取り繕わなければならない。そういうブルシット・ジョブを経営者が封建領主のように臣下にばらまきながら、100年前にケインズが予言した「週15時間、1日2、3時間で週5日働けばよい社会」や、マルクスが共産主義の未来に展望した全人格的能力を開花させる社会に反対する政治的プロジェクトが現在の新自由主義にほかならない、という。「ブルシット・ジョブ」を排除することができれば、今すぐにでもケインズやマルクスの予測した社会は可能なのだ。(門永)







「エッセンシャル・ワーク」と対照的な「ブルシット・ジョブ」について初学者向けに解説=6月27日、大阪市