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明石からのレポート
”すべての子どもを地域のみんなで応援”
活動の拠点「明石こどもセンター」

2021/06/08
2019年4月に開所した明石こどもセンター(HPより)
 2018年4月に中核市に移行した明石市は、泉市長が「こどもを核としたまちづくり」を掲げ、2013年7月から中学生までの医療費の無料化、2016年9月から第2子以降の保育料無料化など、子どものための先進的な諸施策を実施している。
 「こども総合支援条例」の制定
 子ども権利条約の精神に基づき、「こども総合支援条例」を制定。20歳までのすべての子どもを対象にし、子どもの声の反映や幅広い支援(離婚前後の子ども養育支援、無国籍の子どもの支援、妊娠期からの子ども・子育て支援)を2019年4月から施行した。
 子育て・子育ちの拠点「こどもセンター」
 児童相談所は都道府県と政令指定都市に設置されており、中核市では横須賀市と金沢市のみが設置している。明石市は2019年4月、「すべての子どもを地域のみんなで本気に応援する」中核機関として「明石こどもセンター」を開所した。
 弁護士3人、児童福祉司22人、児童心理司8人、保健師5人、助産師1人、小児科医など総計77人が働いている(2021年4月1日現在)。
 子育てに関するあらゆる相談や子どもの発達・心の相談など幅広く受け付けている。子どもからの相談や悩みも気軽に相談しやすい場所になるよう努めている。こどもセンター開設前の子育て支援課の相談件数と比べ、明石市の啓発や職員の頑張りにより、相談件数は大幅に増えている(県児童相談所の相談は含まない)。
 里親制度の拡充に取り組む
 保護者からの虐待や保護者の病気、離婚等の事情により、家庭を離れて生活しなければならない子どもたちがいるが、日本ではその多くの子どもたちが施設で暮らし、里親と暮らす子どもは2割弱。欧米では7割強の子どもたちが里親と暮らし、養子縁組は日常的になっているそうだ。
 そのため明石市は、こどもセンターに「さとおや課」を設置し、28の全小学校区に里親の登録を目標に取り組んでいる。
 子どもの貧困解消をめざす
 コロナ禍により、完全失業者と休業者数は過去最多の460万人となり、飲食店等の経営も大変厳しくなり、貧困と格差があぶりだされている。また、子育て世代、特にひとり親世帯の生活は一段と苦しさを増している。そのような経済状況や長時間のホームステイによるストレス等で、虐待や家庭内暴力が増加していると言われている。
 そうしたなか、明石こどもセンターの取り組みは、まさに子どもの心身の発達を守り、貧困の解消・生活保障を実現させる事業と言えよう。それだけに今後、こどもセンターや関係機関の役割は重要だし、全国に広げていく必要がある。
(前明石市議会議員・永井俊作)