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労働組合つぶしを許さない
関西生コン支部弾圧をめぐって県内3か所で集会

2021/04/27
神戸集会には66人が参加して小谷野毅さんの問題提起を聴い た=4月9日、神戸市勤労会館
73人が参加した阪神集会=4月7日、 尼崎市
51人が参加したはりま集会 =4月8日、加古川
3会場で講演した小谷野毅全日建連帯労組書記長
 生コン業界の労働者を企業を越えて組織している産業別労組である全日建連帯労組関西生コン支部(以下、関生支部)の当たり前の労働組合活動に対して、延べ89人もの逮捕を行うなどの未曾有の大弾圧が加えられていることに対して、この攻撃は労働組合・市民運動そのものへの弾圧だとして、昨年10月に結成された「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」が4月7日から9日の3日間、尼崎、加古川、神戸の県内3カ所で連続的に「労働組合つぶしを許さない地域集会」を開いた。異常な弾圧の事実をより広く知ってもらい、反撃への連帯を広げることがねらいだ。
 
 そのうち、4月9日の神戸集会では、「兵庫の会」呼びかけ人の1人である岩佐卓也さん(神戸大学大学院教員)が主催者あいさつ。関生支部をめぐる裁判の判決にふれ、「組合員と雇用関係のない企業に対する違法な行動だという形式的で狭い労使関係の認識が論拠になっている」とし、「企業を越えた産業別の労使関係、労働運動こそあるべき姿。そうした方向性への契機に」と訴えた。
つづいて、ヘイト集団をも使った悪質な生コン業界による関生支部への攻撃の実際を映像で見たあと、小谷野毅さん(全日建連帯労組書記長)から「関西生コン事件―私たちに何を問いかけているのか」と題した問題提起が行われた。
 小谷野さんはまず「関生事件」とは、①生コン業者団体による組合つぶしを目的とした大規模な不当労働行為、②警察・検察・裁判所による大がかりな刑事弾圧、③ヘイト集団を利用し、SNSやYoutubeをフル活用したデマ宣伝が特徴の3つが混然一体となった事件だと概括的に説明。さらに、企業の枠を越えた労働条件の決定、労使の協力での業界再建、協同組合の発足と共同受注・販売による適正価格・適正労働条件・品質確保の実現、政治闘争の取り組みなど、関生支部の労働運動の戦略と成果を紹介し、だからこその労働組合つぶしの大がかりな不当労働行為や刑事弾圧だと、弾圧の経緯とあらましを報告・解説した。そして、この弾圧事件の背景として、労働運動の弱体化の中でストライキ・団体行動が異端視される社会状況やゼネコンの産業別労働運動への敵視などが指摘され、いくら法律に権利が書かれていても労働組合の主体的力量と社会的影響力が低下すれば権利は死文化すると提起した。
その後、実際に逮捕などの不当な弾圧を受けた関生支部の松村さんは、弾圧に屈しないと現場からの決意を込めて発言。
 また、地域の闘いの報告として、結成間もない神戸ワーカーズユニオン神戸電化工業分会の3人の組合員から安全な労働環境への改善などに向けた取り組みの報告が行われた。
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【関西生コン支部への弾圧】 2018年夏以来、関西生コン支部組合員と業界の改善に取り組む経営者に対する逮捕が、滋賀、大阪、京都、和歌山の各府県警によって繰り返され、その数は延べ89人にものぼった。支部委員長、副委員長は度重なる逮捕で640日を超える不当勾留を強いられた。
 今回の一連の弾圧は、労働組合のストライキを「威力業務妨害」(大阪府警)、工事現場で法令順守を啓発する「コンプライアンス活動」を「威力業務妨害」や「恐喝」(滋賀県警)とし、子どもを保育所に預けるために就労証明書の発行を求めたことを「強要未遂」(京都府警)とするなど、労働組合・労働者の当たり前の活動や要求が刑事弾圧の対象とされている。
 だが、労働組合の活動は本来、憲法28条や労働組合法1条2項によって保護され、労働組合法は正当な組合活動に刑事免責を認めている。