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【新社会党公開講座】
パンデミックを生きる指針 新社会党兵庫県本部がリモート公開講座 藤原辰史さん(京都大学人文科学研究所准教授)が講演

2020/12/16
藤原辰史さんのリモート講演をサテライト会場で聴くと同時にネットでも配信した公開講座=11月19日、神戸市勤労会館

 新型コロナウイルスの感染拡大は明らかに第3波を迎え、1日の感染者数が過去最高を更新する日々がつづくなど、コロナ禍の拡大が止まらない。こうしたなか、初めての試みである新社会党兵庫県本部主催のリモート講演とYouTubeによるライブ配信の「公開講座」が11月19日、神戸市勤労会館をサテライト会場にして行われ、「コロナ後の社会を生きる指針―異議申し立てを自粛するな」と題した藤原辰史さん(京都大学人文科学研究所准教授)の講演に学んだ。
 
 講座は山口みさえ芦屋市議の司会で進められ、冒頭、粟原富夫県本部委員長が主催者あいさつ。「コロナ感染がさらに深刻に拡大しているのに菅首相は経済優先で、感染対策は無為無策だ。いま大事なことは命と暮らしをしっかり守ること。そのための医療体制の強化だ」と菅政権を批判し、「異議申し立てを自粛してはならない」と述べた。
 講演で、藤原さんは、コロナ時代をどう生きていくのかを思想的、歴史的に掘り下げたいと切り出し、まず、新型コロナウイルスは今の社会に対する「抜き打ちテスト」のようなもので、問題を露わにされた政治・社会は「赤点をもらった」と指摘。具体的には、①大規模自然破壊とそれによる気候変動、②非正規雇用労働形態の脆弱さ、③言葉の破壊(政治家の詭弁や説明不足など)、④人文学・文化の軽視(すなわち、歴史の軽視)、⑤男性中心社会の暴力性、⑥都市と大企業一極集中の脆弱さなど、⑦要するに、人の命や生きがいを犠牲にしてでも経済を優先してきた新自由主義の問題が露呈したと提起した。
 さらに、歴史研究からの視点として、感染症をめぐる歴史、とくに第1次世界大戦の最終年に発生したスペイン風邪を検証しながら、過去のパンデミックからの教訓として、人はウイルスと共存していくしかないこと、また、ウイルス感染者を必ず差別してしまうことも明らかになったと述べた。そして、災いは、結局は弱い立場にある人たちに濃縮してしわ寄せされるとも指摘。日本は静かだが、国家は国民を守らないと、世界を見渡せば怒りが満ち溢れていて、アメリカのBLMなど各地で大きな抗議運動が起きていると紹介した。
 さらに、こうした社会を変えていく思想がいま求められているとして、「見せかけのエコロジー」ではない思想、さらに、「ミュニシパリズム(自治の回復)」の思想が大いに注目されると強調した。
 なお、本紙では次号と次々号に藤原さんの講演要旨を掲載する予定だ。