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【三池闘争60年シンポin関西】
人として生きる意味を“三池”に学ぶ 三池闘争60年シンポin関西

2020/11/15
第2部で講演する実行委員会代表の立山寿幸さん(元三池炭鉱労組書記次長)=10月17日、大阪市

 今年は1960年の三池・安保闘争から60年の年。10月17日、「三池闘争60年シンポジウムin関西」が大阪市内で開かれ、関西各地から300人を超える人たちが集まった。呼びかけたのは、元三池労組書記次長の立山寿幸さんらでつくる同シンポジウム実行委員会。集会は午前から始まり、第1部の映画「ひだるか」上映、第2部が「1960三池闘争から60年」と題した講演と報告、第3部が「炭じん爆発と高次脳機能障害」をテーマとするシンポジウムと3部構成で進行し、夕方まで続いた。
 第2部の講演では、立山さんは、自ら所蔵する三池闘争時の貴重な映像も披露しながら三池労組の闘いを総括する講演。
 その後の報告では、報告者の一人、上原康雄弁護士が、今日の運動の現状、労働関連の訴訟が激増する半面、争議が激減している現実を指摘し、「組夫」(非正規雇用)の直接雇用や「三権委譲」(スト権等を職場に)など三池労組が取り組んできた運動にどう学んでいくのかとして、今日の労働運動の課題は〈格差是正と連帯、そしてディーセントワーク〉にあるのではないかと提起した。
 第3部は、「炭じん爆発と高次脳機能障害」シンポジウム。三池闘争の終結から3年後の1963年11月、458人の生命を奪い859人のCO中毒をひきおこした三川坑の炭じん爆発と今に続くCO中毒―高次脳機能障害。これとの闘いをテーマに、高次脳機能障害の臨床に携わる山口研一郎さん(医師)は、三池CO闘争は今日の労災職業病闘争の原点だとして、現地での治療経験や知見の蓄積を現在の交通事故による軽度外傷性脳損傷などの治療に活かすべきであり、廃止された労災病院を継承する大牟田吉野病院を「高次脳機能障害研究・治療センター」に、と訴えた。
 コロナのため参加できなかった同病院労組書記長の伊藤憲一さんも、現地の労災病院廃止に反対してストライキ闘争などを闘ってきた経緯と、病院廃止の際に厚労省と交わした確認書の履行を求めて現在も大牟田吉野病院を中心に高次脳機能障害の治療・リハビリに取り組んでいることなどを、ビデオ参加で報告した。
 集会では、東川絹子さん(関西炭鉱と記憶の会)が三川坑で被災した父親を思いながら制作した絵本『海底の紙ひこうき』も披露され、参加者は「炭掘る仲間」の歌に声を合わせた。
また、三池労組最後の組合長の芳川勝さんからは、炭じん爆発で亡くなった458人を刻銘した三川坑跡の慰霊碑の除幕式が、この11月9日に行われることが紹介された。
(門永)