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【三宮再整備の問題点(その1)】
三宮再整備の問題点を学習 あわはら富夫神戸市議が解説 熟年者ユニオン神戸支部が学習会 JR三ノ宮駅ビル改築計画は白紙・見直しへ

2020/11/15
 熟年者ユニオン神戸支部は10月23日、久元神戸市政のもとで目玉政策として進められている三宮再整備構想について、「コロナ禍で経済が不透明なのに、なぜ総事業費7440億円、うち神戸市負担1570億円もかかる三宮再整備か」と、その問題点を考える学習会を開いた。あわはら富夫神戸市会議員(つなぐ議員団・新社会党)が講師を務めた。以下、あわはら市議からの問題提起(要旨)を2回に分けて掲載する。【編集部】
 
■三宮再開発の概要は?
①2018年度〜30年度で、次のような公共施設の大規模な再編が実施・予定されている。
*市役所3号館と2号館にある部局の再配置と移転(18年度〜19年度)
*同3号館の解体と新3号館の建設供用(19年度〜21年度)
*市役所2号館の解体と新2号館の建設供用(20年度〜25年度以降。これにより部局の帰還、文化中ホールの移転)
*中央区役所と勤労会館の新3号館への移転(21年度)。葺合文化センターと生田文化会館機能も同時に3号館に移転する。一方、勤労会館と生田文化会館の体育館・室は磯上グラウンドに建設する体育館に集約する。
*中央区役所、勤労会館、サンパル、東横インなどは21年度以降解体する。
*新バスターミナル1期を完成させ(26年頃)、文化大ホール、三宮図書館もそこに移転させる。
*新バスターミナル2期は(未定だが)30年頃の完成を見込む。
②もうひとつの大きな計画の柱は、三宮クロススクエア計画だ。これはJR三ノ宮駅南からセンタープラザ北側道路。フラワーロード国際会館までを歩行者空間にしようというものだ。

■三宮再整備の総事業費と市民負担、そして経済効果は?
①全体事業費として7440億円が計上されている。うち、市負担が1570億円だ。
*このうち、公共事業費が1080億円。うち市負担が690億円。
*民間事業費が6360億円で、うち市負担が880億円である。
②経済波及効果として、
*建設投資によるものが1兆1千億円。これによって7万6千人の雇用、60億円の税収を見込んでいる。
*さらに、整備後の波及効果として、毎年2600億円で、16400人の雇用、90億円の税収を見込む。
*そして、2050年には1570億円の税収効果と描かれている。
■多くの重大な問題点
①まずは、再開発の種地づくりのための公共施設再配置であるという、他にはあまり見られない問題点があげられよう。
*再整備というよりも、ジグソーパズル的な公共施設の再配置で、後からピースを補充できず、一つのピースを動かすともう止められないドミノ倒し的なジグソーパズルだ。
*全体事業費の公表が、庁内部局の移転や3号館解体の終了後の今年6月で、まさに見切り発車だ。
*中央区の生活拠点施設である生田文化会館、葺合文化センターが全面廃止されてしまう。
*また、中央区役所や勤労会館の移転で利便性が後退するし、体育施設の集約化で利用者の競争がこれまで以上に激化する。
*文化ホールの大・中ホールの分離移転で、中ホール機能の役割が不明確になる。
*市役所や区役所の建て替えには国からの補助金がなく、市税で丸抱え負担をしなければならないので、種地を生み出すための公共施設の再配置で総額1130億円の市民負担が生じる(ちなみに庁舎内部の移転経費だけで105億円も要する)。②そもそもの出発はJR三ノ宮駅ビルの建て替えだったが、JR三ノ宮駅ビルの都市計画決定が、コロナでの財政悪化が原因で延期となった(JR西日本は10月30日、駅ビルの建て替え計画をいったん白紙に戻して見直すことを発表した)。
*もともとJRの中でも、三ノ宮駅は優先順位は低いことが課題になっていたのだ。京都駅や大阪駅と違い、結節点の駅ではなく、通過駅にすぎない。敷地の余裕もない。
*三宮再整備の出発点はJR三ノ宮駅の建て替えから始まったのに、再開発には種地が必要との議論から、その土地の提供を中央区役所と勤労会館の移転に求めたところから、久元市長の前のめりの再整備となってしまった。再整備の「1丁目1番地」が暗礁に乗り上げた格好だ(以下、経済波及効果分析は次回で)。