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【戦争体験を語り継ぐ会】
「灘区東灘区平和マップを歩く会」が戦争体験を語り継ぐ集い

2020/11/15
戦争孤児の体験談や空襲体験者のお話じっくり聞いたり語り継ぐ集い=10月25日、神戸市灘区

 灘区東灘区平和マップを歩く会は10月25日、灘区文化センターで「戦争体験を語り継ぐ会」を開き、会場いっぱいの45人が参加した。
 会では、白井勝彦さんの体験談「戦争孤児の歩んだ道」、徳永幸子(ゆきこ)さんによる富山空襲の紙芝居とその紙芝居を行う理由を追ったNHK富山放送局ニュースのビデオを見聞した。おふたりとも「辛い悲惨な体験だからと黙っていては無かったことになってしまい、消えてしまう。当事者の私は語り継ぐ役目を持っている。もっと調べよう、書き残そう、描き足そう……と取り組んできた」と思いを語り、その強い意志の熱気は会場に広がった。
 白井さんは、記録が乏しい戦争孤児達の体験を残したいと2017年に「神戸の戦争孤児の記録を残す会」を作り、元孤児達から聞き取りを続けている。「孤児達は闇市で食べ物を盗んで生き延びたり、残飯を食べて亡くなったりした。就職や結婚でも差別や偏見があり、苦難の人生を送った人が多い。自死した人もいた。孤児にとって今も戦後は続いている」と述べた。
 徳永さんは、7歳の時に富山市で富山大空襲に遭った。1945年8月2日の約3千人が命を落とした空襲で、自宅は焼け、祖母やいとこが亡くなった。8年前に地元の学校で昔の話をと乞われ、空襲と戦時中の食べ物や遊びなどを紹介したところ、大人もしっかり聴いてくれた。子どもにも戦争の現実を知らせるべきだと今なら思うと、紙芝居に次々と描き加え、語るようになったと述べた。
(井上みち子)