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ローカル線廃止問題を考える
ノーモア尼崎事故 生命と安全を守る集会

2024/04/27
【写真説明】 2005年に尼崎で起きたJR福知山線の脱線事故

 「ノーモア尼崎事故2024生命と安全を守る集会」が4月27日、尼崎市内で開かれ約50人が参加した。
 集会では、「『国鉄改革』から活性化法まで」と題した地脇聖孝さん(鉄道問題研究会代表)の記念講演のほか、国労組合員による職場報告、リニア新幹線建設問題の提起、全日建関生支部やJAL被解雇労組からの闘争報告と支援要請もあった。
 以下は、地脇さんの講演の一部。
 昨年10月、ローカル鉄道の再編を促す「改正地域公共交通活性化再生法(活性化法)」が改定施行された。見直しの検討対象とされるローカル線は、主に1㌔当たりの1日平均利用者数が「1千人未満」の線区(JR西日本では「2千人未満」17路線が対象とされる)。
 しかし、国の政策はあくまで自治体支援であり、自ら責任をもって公共交通を立て直していくというものではない。新幹線や都市圏鉄道には技術革新や土地開発が伴うため積極的な財政や法支援を行うが、市場競争重視の経済政策ではローカル線は廃止が前提。国が主体的に住民の利益を守るという公共原則は主眼ではない。
 ローカル線廃止に歯止めがきかない北海道でローカル線廃止に伴って危惧されているのが、食料の輸送問題だ。青森〜函館〜札幌間の輸送量は、貨物列車が旅客列車の2倍である。各ローカル線がブツ切れ状態で廃止されたら、地方の食糧はトラック輸送に頼ることになるが、トラック輸送では約2500両のトラックと運転手が必要となり、不可能に近い。ローカル線の廃止は食の将来展望も失いかねない。
 西日本では山陰本線の鳥取〜城崎温泉、出雲〜下関なども不採算路線として見直し検討対象だ。
 JR尼崎事故の根底に「国鉄分割民営化」があることを何年も検証してきたが、ローカル線廃止問題では「国労潰し」「国民の財産の大企業へのたたき売り」だけでない大失政であった事実が露呈している。
(平田)