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王子公園再整備問題
都計審で大学建設承認
市民は運動継続を宣言

2024/02/05
【写真説明】大学建設のために王子公園の一部の用途変更を審議する都市計画審議会に向けてアピール行動をする「王子公園・市民ミーティング」実行委員会のメンバー=2月5日、神戸市役所前

 神戸市灘区の王子公園再整備計画をめぐり、大学を誘致した神戸市と同エリアへの大学キャンパス進出を決めた関西学院大学の間で昨年12月22日に基本協定が締結され正式に合意をしたが、この大学建設のために王子公園の一部を大学用地エリアに用途変更することを審議・決定する都市計画審議会(都計審)が2月5日、神戸市役所で開かれた。これに対し、市民らは事前に市役所前でのアピール行動や傍聴行動などに取り組み、市民不在の計画にストップをと訴えたが、都計審は提案された計画案を賛成多数で承認した。

 神戸市の都計審(会長=小谷通康・神戸大学名誉教授)は、学識経験者など16人と市会議員12人の28人で構成される。この日、24人が出席して午後2時から始まった都計審には傍聴定員30人を超える約60人が傍聴を希望、定員枠から外れた人は、別室に設置されたモニターで審議会を見守った。
 市の提案に対し、「大学誘致は公益上必要なことなのか。便利で大事な土地は市民のためにとっておくべきだ」(共産党市議)などの反対意見はあったが、採決では議案に反対したのは共産党の2人の市議の委員のみで、関連議案は賛成多数で承認された。
 審議では、発言したのはすべて市会議員で、学識経験者などの委員からは質問も意見もまったくなく、ただ採決に挙手をしただけの姿が特徴的で、傍聴者の間からは「これだけ多くの市民が反対している事案なのに、ひとつの質問もないのはどういうことか。なんのために委員になっているのか」と、都計審の形骸化した状況に驚きと怒りの感想が多く漏れた。
 審議会終了後、事前のアピ―ル行動や傍聴行動を呼びかけた「王子公園・市民ミーテイング」実行委員会の小林るみ子代表と金丸正樹事務局長が市政記者クラブで記者会見を行い(写真下)、金丸事務局長は「市は疑問点に対して一方的に市の考え方を述べるだけの対応で、まさに逃げ得の審議。市民不在の不当議決だ」と批判。「これで終わりではない。今後、議会での土地譲渡の議決や住民説明会などでの攻防も残されており、決してあきらめてはいない」と運動の継続を表明した。
 同実行委員会が呼びかけた市役所1号館前での事前のアピール行動には雨の中を約50人が参加。歌やマイクアピールで「公園の一部を大学に切り売りするな」などの訴えが続いた。計画では100億円で売却予定。