新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ400(武庫川)

故小西純一郎副委員長が残した財産

2022/10/26
 武庫川ユニオンをつくり、育て、けん引してきた小西純一郎副委員長(69歳)が9月19日、9時10分、心不全のため、治療先の病院で亡くなった。心からご冥福をお祈りします。
 武庫川ユニオンと言えば外国人労働相談だ。1991年、外国人労働者の未払い賃金事件が相次いだことから、翌92年3月に外国人労働相談をスタートさせた。当時、尼崎総評加盟の労組幹部が、額に汗を垂らしながら言葉の通じない外国人の相談に対応したエピソードが残るが、テレビのニュースで知った外国語通訳ボランティアが次々と現れ、28件の相談に対応した。「何とかなると思った」と小西さん。私なら言葉の壁で躊躇してしまうが、労働者の権利を第一に考えているので、「思い立ったが吉日」である。
 現在も毎月第3日曜日に滋賀で相談会を開設しているので、滋賀の外国人労働者の中では武庫川ユニオンの知名度はかなり高い。急ぎの相談者は、滋賀からユニオンの事務所を訪ねて来ることもある。念のため、ポケトーク(翻訳機)を購入しているが、基本は相談者が通訳を連れてくるようになっている。相談者のほとんどが派遣労働者であり、相談内容も解雇・雇止め、労災、未払い賃金がほとんどだ。
 9月にも解雇と未払い賃金の新たな相談が2件あり、すぐに派遣元に団体交渉を申し入れた。すでに合意書を作成し、10月末でスピード解決する。これも20年以上、滋賀での相談や交渉の実績があり、過去には街宣行動も行ったことから、比較的多くの企業と早期解決が実現している。
 また、滋賀の取りまとめ役も高齢になっており、世代交代が求められるが、ユニオンに協力的な若い人も出てきている。これも小西さんの財産である。
 小西さんがいなくなって、あらためてその存在の大きさに気づかされる。私たちの課題は、小西さんの遺志を継いで、ユニオンをもっと大きくし、尼崎でより多くの労働者を組織し、安心して暮らせる社会をつくることだ。
 塚原久雄(武庫川ユニオン書記長)