新社会兵庫ナウ
水脈(2020年3月10日号)
2020/03/10
勢いを増す新型コロナウイルスの感染拡大は確かに怖い。安倍首相は2月27日、全国のすべての小中高校などを3月2日から春休みまで一斉に臨時休校するよう前代未聞の要請を行った▼突如の「要請」で、教育現場はもちろんのこと、市民生活での混乱や対応の困難さ、不安は計り知れない。「子どもをどうする」「収入がなくなる」……▼だが、首相の独断による「要請」は、「お上からのお達し」としてほぼそのまま受け入れられた。そして、こんな市民の不安や苦労に対し、翌日の首相の記者会見は応えることがなかった。休職補償などの具体案は示されないまま、「ご理解」と「お願い」を繰り返すだけの演説に終わった。質問も打ち切り早々と自宅に帰った。「私の責任で」と言われたところで、これまでの彼の言動からは納得も信用もできない。空虚な言葉だけの「責任」で押し通してきた人なのだから▼怖さはまだ他にある。”惨事”を利用して、権力者の独断や独裁的な政治対応がさらに常態化していくことだ▼そして、「桜を見る会」問題や検事長の定年延長問題などで窮地にある安倍首相への追及が、この“非常事態”の名の下で、世論によっても脇に追いやられてしまわないかという恐れだ。