新社会兵庫ナウ

私の主張(2020年3月10日号)

2020/03/10
市民に冷たい久元神戸市政 久元市政を検証する(その2)
教師間いじめ事件等で久元市長の教育介入が強まる。
 垂水区の女子中学生自死事件での「隠ぺいメモ」問題や、東須磨小学校での教員間いじめ事件など、教育委員会関連の不祥事が多発している。
 とくに東須磨小学校での教員間いじめ事件では、「加害教諭に給与を払っていいのか」とのマスコミ報道やSNSによる異常な煽りに押され慌てた久元市長は、加害教員への給与支給停止を目的にした分限条例改正案を議会に提案した。「刑事事件で起訴された職員」を「重大な非違行為をおこし、起訴される恐れがある職員」に拡大したのだ。この見直しは、今回の事案だけでなく「当局が恣意的に対象者を拡大することが可能」となり、しかも全職員が対象になるものだ。そのうえ、手続きも拙速で、議案提案から1週間で可決・成立させてしまった。共産党市議団までがこれに賛成する中、私たち「つなぐ議員団」だけが反対した。
 そもそも分限処分は、長期の病気など公務に支障が出る場合に科せるもので、懲戒を目的にしたものではない。この処分の妥当性を諮問された第三者諮問機関は「本来、懲戒処分で行うべきで、分限処分には不相当」との結論を出したのは当然と言える。議会もさすが成立はさせたものの、当局の恣意的な拡大を防ぐために「第三者諮問機関に諮問し意見を求める」との付帯決議をつけたが、諮問機関の「不相当」の結論を無視し、市長の意向を忖度した教育委員会は4人に給与支給停止などの分限処分をしてしまった。
 すでに、憲法違反や法律違反の疑いの声も出ている。この間、教育委員会の不祥事を盾に、教育委員会の上に市長が座長を務める総合教育会議を置き、教育への介入を強めている。
三宮再整備に伴う大規模な公共施設再編が財源等の見通しも示さず見切り発車
 JR京都駅やJR大阪駅の再開発は、JRが主導して自らの余剰用地をタネ地にし、自治体の協力も得ながら周辺の開発へと広げていった。ところが三宮再整備は、中央区役所と勤労会館の移転など市が主導してタネ地を用意したために、その移転地として市役所第3庁舎を解体せざるを得ず、その前に市役所内各局の移転が必要になった。また、それら移転した市の各局が再び市役所に戻ってくるために第2号庁舎の建て替えが必要になるという、まさにドミノ倒しだ。市役所全体の建て替えという公共施設の大再編に発展する。
 各局の移転費と賃料だけで95億円。その総事業費は概算700億円、市負担は500億円にもなる。これに、雲井地区再開発計画の費用も含めると市民負担は1千億円に近づくといわれる。本来は、その財政計画などが事前に議会に諮られるべきだが、すでに庁舎内での各部局の市内各所への移転が始まり、中央区役所などを受け入れるビル建設のために第3庁舎の解体が始まってしまっている。
 首長と議会は二元代表で、大きな事業の是非を決めるには、その計画の総事業費と市民負担額、その財源と財政見通しは、事業の出発の前にできる限りの公開に努めるのが、議会に対する首長の側の役割だ。見切り発車であり、議会軽視の姿勢をとり続けている。
 市民はもちろん、市役所内や議会でもこうした久元市長への不満が高まっており、私たちは来年秋の市長選挙に向けた準備を、候補者づくりを含めてとりかかり始めなければならないと決意しているところだ。
あわはら富夫(神戸市会議員・つなぐ神戸市会議員団)