新社会兵庫ナウ

おんなの目(2022年10月12日号)

子宮頸がんワクチン

2022/10/12
HPVワクチン東京訴訟支援ネットワーク 発行パンフレット
 ★私は中学生から高校1年にかけてHPVワクチンを3回接種しました。3回目接種後から、激しい体中の痛みや倒れ込みそうな重たい倦怠感、脱力等、何重もの症状に苦しみ、9年経った今でも、日常生活を普通に送れていません。1年のうち半分以上はベッドの上です。ワクチンのせいで、私の人生は無茶苦茶に壊されました。あったはずのたくさんの選択肢は奪われました。(福岡県在住・梅本さん)
 ★厚生労働大臣とお話しする機会をはじめていただき、「被害者に寄り添っていきたい」という言葉を大臣の口から直接聞いたときには、やっと助けてもらえると心から嬉しく思いました。ですが、それから寄り添ってもらっているなと感じたことは一度もありません。助かったなと思ったことも一度もありません。そして積極的勧奨再開を聞いて、あらためて私たち被害者のことを心から見ていないなと実感しました。私は、この被害について考えるのは、あまり好きではありません。今までのことを考えると、悲しくて涙が止まらないからです。(山梨県在住・望月さん)
 
 これは、ワクチン接種積極的勧奨再開に向けての2人の被害者の声である。若い女性に子宮頸がん罹患者が増えていることから、国はこの間、子宮頸がんの原因となるウイルスの感染を防ぐ子宮頸がんワクチン接種を無償で積極的に進めてきたが、副反応の被害者が次々に出てきたことで、わずか2年で消極的勧奨に切り替えた。
 積極的勧奨?消極的勧奨? どう違うのか!何が根拠でそのように単純に切り替えられるのか! すべて自己責任になるのか!あまりに無責任な国の方針に、当事者はもちろん私たちも振り回されてきた。その背景には、製薬会社の国への圧力にも似た“働きかけ”があったのではないかとも言われている。そして再び、9年ぶりに積極的勧奨に国の方針が変わり、すでに子宮頸がんワクチン接種の案内が送られている。送られてきた当該者や保護者は今、どうしたら良いのか戸惑いを隠せない。
 先日、つなぐ神戸市議団の勉強会で、子宮頸がんワクチン被害者とともに裁判を闘っている弁護士や医師の話を聞く機会を持った。将来の夢を奪われた副反応の被害者が多く出ており、現在、4つの地裁で約130人が闘い続けている。
 子宮頸がんワクチンの積極的勧奨再開を機に、接種を受ける人が増加すると、副反応被害者が再び多数生じる可能性がある。安全性も確保されていない、治療法もない、医療従事者においても見解が2つに分かれている中で、国も自治体も安易に進めるべきではない。
 まずは、相談窓口の設置はもちろんだが、接種後の追跡調査をすること、子宮頸がんワクチンの正しい情報を知らせるとともに早期発見・早期治療を行うための無償の定期健診を積極的に進めることを求めていきたい。
 私は、彼女たちを置き去りにした子宮頸がんワクチンの積極的勧奨再開は、控えるべきだと思っている。
(小林るみ子)