新社会兵庫ナウ

地域ユニオン あちこちあれこれ(2020年3月10日号)

2020/03/10
介護労働者の処遇改善制度で金儲け?
 介護・保育などの職場では人手不足が深刻だ。原因は、仕事内容と労働条件とが釣り合っていないからだ。そのため、政府も介護労働者や保育労働者に対する助成金制度を作り、労働条件の改善を図ることによって離職者を抑えようとしている。しかし、労働者の処遇改善のための制度が、企業の金儲けになっているのではないかという疑念がある。
 今年に入り、グループホームで組合員が拡大し、新しい分会を結成した。労働契約の内容と賃金明細に違いがあったからだ。契約書には時給920円とされているが、「処遇改善経費70円を充当する」と記載されている。県最賃が899円であるから、加算がなければ時給は829円だ。また、契約書には夜勤手当「5千円」とされているが、賃金明細では夜勤手当2千円と夜勤処遇加算3千円に割り振られていた。
 ユニオンは、「時給に処遇加算するなら、最低賃金額に加算すべきだ」「加算がなければ、最低賃金違反ではないか」「夜勤手当5千円と契約書に明記されており、1回につき3千円の未払い賃金が発生している」などと厳しく追及した。しかし、施設側は「違法ではない」の繰り返しである。
 政府が意図した処遇改善加算は、急増する介護需要に対して、介護労働者の定着を図り、離職率を押し下げるような処遇改善を図ることを事業者に求めている。
 しかし、いまや福祉を食い物にする者たちが、ネットに氾濫する「儲かる介護ビジネス」という広告につられ、異業種からの参入が相次いでいる。
 現場で働く人たちの姿を見ていると人手不足と仕事量が多いため、まったく余裕がなく痛々しい。
 義父は、自力でトイレに行きたいと希望しても、行かせてもらえない。トイレ介助するパンパワーが足りないからだ。足腰が弱り、寝たきり一歩手前である。
 現場の実態を国会が取り上げ、介護労働者の処遇改善を通じて、介護サービスの向上と社会保障費の削減につなげてほしい。
塚原久雄(武庫川ユニオン書記長)