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私の主張(2022年7月14日号)
2022/07/14
王子公園再整備問題
運動は第2ステージへ
市民参画が追求課題
■2021年1月、久元神戸市長は「王子公園(灘区)内に大学の誘致をめざす」と発表した。そして昨年末、「王子公園再整備基本方針〈素案〉」が公表された。その内容は、大学誘致、立体駐車場建設、遊園地やテニスコート等の廃止というもの。すると、すぐに多くの市民が反応し、さまざまなアクションが湧き起こった。テニスプレーヤー、部活動する中高校の先生、さらには地元自治会や婦人会などの言わば保守の基盤組織の人たちさえ憤りの声を発し、文字通り老若男女がそれぞれの立場から異議申し立てを行ったのだ。
当然ながらその根拠はさまざまで、「親子3世代で親しんだ遊園地を無くさないで」「安価で気安く、いつでも家族で遊べる貴重な公園」「ハードコートのテニスコートは貴重」「部活で使っているグラウンドがなくなったらどこで練習したらいいのか」「そもそもなぜ大学誘致なのか」など、多種多様である。それだけに、切実で具体的な実態に即した疑問と批判の声となった。
■私たちはそうした声をひとつひとつ丁寧に汲み上げ、今年1月と3月に「王子公園の未来を描く市民ミーティング」と称した市民集会を開いた。コロナ禍にもかかわらず、各210人、120人の市民がかけつけ、意見を交わした。そしてその参加者からの発案で、〈素案〉の白紙撤回を求める要望署名運動を展開し、さらに「もっと人の目につく行動を」との提案で5月5日にはパレードを120人の参加で行った。また、大学誘致の状況をつかむために近隣の大学へのアンケート調査にも取り組んだ。
■この運動の意義と特徴は以下の点にある。①きわめて広範な人々の運動に広がっていること、②大衆が「我が事」として受け止めていること、③市民の主体的・持続的な行動に発展していること。
署名では、「こんなこと(署名運動)してくれてありがとう」と言われたり、自分で用紙をコピーして家族・親戚・遠方の知人に書いてもらったという人も少なくない。運動の波は神戸市内にとどまらず、関西一円はもとより東京や北海道からも集会への参加や署名の郵送がある。
このような市民の声に押されて、神戸市は〈素案〉の見直しを表明せざるをえなかった。その点では極めて異例で、市のプランをとにもかくにも一旦押し戻したわけである。
■ここにきて事態は新たな展開をみせた。6月上旬、神戸市は当初の〈素案〉の「見直しに向けた市の考え方と方向性」を発表した。それによると、廃止としていた施設を一部存続するとし、しかし疑義の多かった大学誘致については厳然と残したままである。そして、この考えをもとに市民との意見交換の場を設けるとしている。
これらが新聞等で報道されると、「よかったね」「運動した甲斐があったな」という声が届いた。他方で「大学誘致は変わってない」「市民の声を聞いたフリだけ」との憤りも寄せられている。
私は、2つの側面があると考える。市の当初案を圧倒的な運動でともかく押し返した結果であるという成果の側面。市民の奮闘を称え合いたい。しかし一方、市は「肉を切らせて骨を断つ」的に、再整備のキモである大学誘致は一歩も引いていない。相手の本音の露出という側面である。
その意味で、運動ははっきりと第2ステージへと移った。たんに「○○施設がなくなるから反対」との意識(それ自体は大切だが)だけでは、絡め取られてしまうだろう。この運動がこれからよりタフになるためには、深い思想と周到な理論が不可欠だと思う。
私たちの運動スローガンは、「王子動物園・王子公園の未来はみんなで決める」である。署名しておしまい、ではない。言わば「市民参加のまちづくり」だ。街や景観、公園は「公共」、すなわちみんなのものである。当然ながら、それに手を加えるならばみんなの意見を聴いて行うべきであるというスタンスだ(海外、たとえばイギリスでは都市計画における市民への情報周知と意見交換プロセスは「パブリック・コンサルテーション」と呼ばれ、最重要なプロセスとされる)。
市民がその計画づくりにむしろ主役として参画する。それを目指していくのが当面の追求課題である。大げさだが「〈コモン〉から始まる、新しい民主主義の胎動」(『水道、再び公営化!』岸本聡子著)だ。
さらに視点をブラッシュアップすべきもうひとつのポイントは、全国的な公園等の再整備計画の流れの中で捉えることである。
いま、「Park―PFI」(公募設置管理制度)を活用した公園整備事業が全国で進行中だ。東京では明治神宮外苑再開発が大きな問題となっている。高層ビルや商業施設が目を引く開発案に近隣景観への影響や100年の歴史がある樹木伐採について懸念の声があがっている。
では、わが王子公園はどうか。財政的・人口的動機の大学誘致はもちろん噴飯ものだが、そもそも大規模建築物が“原田の森”にふさわしいのかどうか。今後、私たちに求められる課題は、「私たちの王子公園像」づくりだ。
金丸正樹(「王子公園・市民ミーティング」実行委員会事務局)
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運動は第2ステージへ
市民参画が追求課題
■2021年1月、久元神戸市長は「王子公園(灘区)内に大学の誘致をめざす」と発表した。そして昨年末、「王子公園再整備基本方針〈素案〉」が公表された。その内容は、大学誘致、立体駐車場建設、遊園地やテニスコート等の廃止というもの。すると、すぐに多くの市民が反応し、さまざまなアクションが湧き起こった。テニスプレーヤー、部活動する中高校の先生、さらには地元自治会や婦人会などの言わば保守の基盤組織の人たちさえ憤りの声を発し、文字通り老若男女がそれぞれの立場から異議申し立てを行ったのだ。
当然ながらその根拠はさまざまで、「親子3世代で親しんだ遊園地を無くさないで」「安価で気安く、いつでも家族で遊べる貴重な公園」「ハードコートのテニスコートは貴重」「部活で使っているグラウンドがなくなったらどこで練習したらいいのか」「そもそもなぜ大学誘致なのか」など、多種多様である。それだけに、切実で具体的な実態に即した疑問と批判の声となった。
■私たちはそうした声をひとつひとつ丁寧に汲み上げ、今年1月と3月に「王子公園の未来を描く市民ミーティング」と称した市民集会を開いた。コロナ禍にもかかわらず、各210人、120人の市民がかけつけ、意見を交わした。そしてその参加者からの発案で、〈素案〉の白紙撤回を求める要望署名運動を展開し、さらに「もっと人の目につく行動を」との提案で5月5日にはパレードを120人の参加で行った。また、大学誘致の状況をつかむために近隣の大学へのアンケート調査にも取り組んだ。
■この運動の意義と特徴は以下の点にある。①きわめて広範な人々の運動に広がっていること、②大衆が「我が事」として受け止めていること、③市民の主体的・持続的な行動に発展していること。
署名では、「こんなこと(署名運動)してくれてありがとう」と言われたり、自分で用紙をコピーして家族・親戚・遠方の知人に書いてもらったという人も少なくない。運動の波は神戸市内にとどまらず、関西一円はもとより東京や北海道からも集会への参加や署名の郵送がある。
このような市民の声に押されて、神戸市は〈素案〉の見直しを表明せざるをえなかった。その点では極めて異例で、市のプランをとにもかくにも一旦押し戻したわけである。
■ここにきて事態は新たな展開をみせた。6月上旬、神戸市は当初の〈素案〉の「見直しに向けた市の考え方と方向性」を発表した。それによると、廃止としていた施設を一部存続するとし、しかし疑義の多かった大学誘致については厳然と残したままである。そして、この考えをもとに市民との意見交換の場を設けるとしている。
これらが新聞等で報道されると、「よかったね」「運動した甲斐があったな」という声が届いた。他方で「大学誘致は変わってない」「市民の声を聞いたフリだけ」との憤りも寄せられている。
私は、2つの側面があると考える。市の当初案を圧倒的な運動でともかく押し返した結果であるという成果の側面。市民の奮闘を称え合いたい。しかし一方、市は「肉を切らせて骨を断つ」的に、再整備のキモである大学誘致は一歩も引いていない。相手の本音の露出という側面である。
その意味で、運動ははっきりと第2ステージへと移った。たんに「○○施設がなくなるから反対」との意識(それ自体は大切だが)だけでは、絡め取られてしまうだろう。この運動がこれからよりタフになるためには、深い思想と周到な理論が不可欠だと思う。
私たちの運動スローガンは、「王子動物園・王子公園の未来はみんなで決める」である。署名しておしまい、ではない。言わば「市民参加のまちづくり」だ。街や景観、公園は「公共」、すなわちみんなのものである。当然ながら、それに手を加えるならばみんなの意見を聴いて行うべきであるというスタンスだ(海外、たとえばイギリスでは都市計画における市民への情報周知と意見交換プロセスは「パブリック・コンサルテーション」と呼ばれ、最重要なプロセスとされる)。
市民がその計画づくりにむしろ主役として参画する。それを目指していくのが当面の追求課題である。大げさだが「〈コモン〉から始まる、新しい民主主義の胎動」(『水道、再び公営化!』岸本聡子著)だ。
さらに視点をブラッシュアップすべきもうひとつのポイントは、全国的な公園等の再整備計画の流れの中で捉えることである。
いま、「Park―PFI」(公募設置管理制度)を活用した公園整備事業が全国で進行中だ。東京では明治神宮外苑再開発が大きな問題となっている。高層ビルや商業施設が目を引く開発案に近隣景観への影響や100年の歴史がある樹木伐採について懸念の声があがっている。
では、わが王子公園はどうか。財政的・人口的動機の大学誘致はもちろん噴飯ものだが、そもそも大規模建築物が“原田の森”にふさわしいのかどうか。今後、私たちに求められる課題は、「私たちの王子公園像」づくりだ。