ひょうごミュージアム

ひょうご碑物語56
記念碑 養而不窮(神戸市垂水区名谷町)

2022/07/27
 神戸は開港以来、自己水源が少なく水不足に悩まされてきたが、淀川からの取水が可能になり解消に向かう。
 西端の垂水へは、1958年に灘区篠原北町から垂水区名谷までの送水用の隧道が完成し、給水が始まる。
 これを記念した碑が2年後の1960年10月に建立された。刻まれている「養而不窮」は中国の故事「周囲の井、養而不窮也」からの引用。「やしないてきわまらず―井戸は人びとを養っても枯れることはない」の意。
 石碑に使われている御影石は、高さが3・9m、幅1・8m、厚さ0・8mもある。1938年の阪神大水害の際、東灘区の住吉川上流から押し流されたものという。
記念碑は当初、奥垂水高層配水場内に設置されたが、本四連絡橋工事のため1994年、約100m北の現在地に移設された。
 「養而不窮」の4文字は、兵庫区の烏原貯水池(布引ダムに次いで1905年に完成した水道専用ダム)の取水口上屋にも刻まれている。
 なお、水道が市内の隅々までいきわたるのは1985年になってから。
(鍋島)
【メモ】JR垂水駅から山陽バス5系統・名谷行 に乗車、多聞東で下車。北東へ徒歩12分。