新社会兵庫ナウ

水脈(2022年6月8日号)

2022/06/08
 ウクライナの戦火は長引くであろう、という予測が専らである。一方が他方を屈服させたり、戦域から駆逐することをもって休戦の条件とする限り、平和は遠のくばかりである▼もちろん第一の非はロシアの侵攻にあり、残虐な戦争の遂行にあることは論を待たない。ロシアの行為は、かつてのわが国の日中戦争の行為ときっちり二重写しである。それ故に私たちは自らの歴史を背負って戦争に反対しなければならない。便乗して新たな戦争の種子を播いてはならない。敵基地攻撃や拡大抑止、軍事費倍増フリーパス等、言語道断である▼ウクライナに平和が実現する時、それはより安定した平和につながるものでなければならないが、垣間見える第2幕の準備は21世紀版冷戦の構築のようだ。今回、黒衣以上の役割を果たしているNATOが70余年前に東側に対する軍事同盟としてつくられた時、それをアジアに拡大する試みは成功しなかった。インド、中国、インドネシア等のA・A勢力があったからだ。東に拡大するNATOと「開かれたインド・太平洋」を結ぶ新冷戦構造をつくらせてはならない▼ウクライナの平和がつくり出すものは、新冷戦ではなく全世界の平和でなければならない。