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私の主張(2022年5月18日号)
2022/05/18
問われる平和主義の維持
自民党は憲法をもてあそぶな
憲法施行75年の今年の憲法記念日は憲法制定以来、最大の試練の中で迎えたといっても過言ではない。人類史的大疫病といえる新型コロナウイルス感染症が未だ収束しない中の2月24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まった。ロシア軍は連日、病院や学校など無差別攻撃を行い、結果として子どもや病人などを含め多くの犠牲者が出ている。これらの行為は国連憲章や国際人道法等に明確に違反し、何ら擁護されるべきものはない。直ちに軍事侵攻を止め、ウクライナから撤退すべきだ。災害、疫病、戦乱と有史以来、人類は幾多の経験をしているが未だこうしたものの危機に晒されている。その意味では我々は歴史から何を学んできたのか、改めて問われよう。
さて、このような国内外の激動の中で考えるべき課題として、戦争と平和、民主主義、人権の基底をなす個人のいのちとくらしを保障する権利を提起したい。
コロナ禍では場当り的な対応に終始した政府に対して、野党は厳しく責任を問うのは当然だが、問いただすべき肝心の国会が開かれなかった。野党が一致して憲法に基づき政府に国会召集要求を行ったが、政府はこれを握り潰した。自分たちが批判の矢面に立たされるのは都合が悪いから国会は開かない。こんなご都合主義の政治がまかり通っていること自体、とんでもないことであり、不健全な民主主義状態といえよう。これを是とする政党に民主主義や憲法を語る資格などそもそもない。
さらに問題視したいのは、自民党の憲法改正・9条壊憲問題である。コロナで停滞していた改憲機運を盛り返そうと、「憲法改正実現本部(旧、推進本部)」を組織改編して全国キャラバンの展開を計画している。明文改憲については従来の改憲4項目(緊急事態条項、自衛隊の憲法への明記、国会議員定数配分における「合区」の解消、教育の充実)と変更はないが、若干の注意点だけふれる。
緊急事態条項創設については、以下2系統の提案をしていた。①緊急事態下での国会議員の任期延長。②国会が開会できず、政府は「法律」と同等の法的効果を有する「緊急政令」を発令する(事実上の「憲法停止」)。当初は人権制約など国民からの警戒を意識してか、②の案ではなく、①の国会議員任期延長のための緊急事態条項と自民党は主張していたが、最近の憲法審査会の自民党委員の発言には②を主張する者もいる。結局、自民党は世論の空気を見ながらの判断か。
「合区解消」のため、憲法に「地方」選出規定を明記するとしているが、そもそも国会議員は「全国民の代表」であり、齟齬を来たす。明文改憲で規定すると「地方」選出規定がネックとなって「完全比例代表」選出規定が導入できない可能性が生ずる。その意味では改憲ではなく、投票価値の平等のために人口に比例して定数配分を行う公職選挙法改正で充分だ。教育の充実も立法政策上の問題で、維新へのリップサービスだろう。
自衛隊の明記(明文改憲)よりもさらに重大なのは安倍政権時の「安保法制」整備に匹敵、いやそれ以上の、4月末に政府に自民党安全保障調査会が策定した「提言」である。
これは、年末までの「国家安全保障戦略」等の新たな策定に向けたものだが、「専守防衛」とは名ばかり、事実上、憲法9条を亡きものにしようという意図は明白である。①「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」に名称変更して保有し他国(ミサイル基地のみならず、指揮統制機能等も含む)への「先制攻撃」を容認。②5年以内に防衛費を対GDP比2%に増額。③サイバー・宇宙などハイブリッド戦に備えた装備、AI、無人機などハイテク兵器のさらなる開発・導入。これらの達成のための、産官学、軍産・軍学など共同・交流の推進。詰まるところ、軍事のため国のあらゆる人的・物的資源を投入するのだ。これでは戦前日本と同じではないか。また防衛費を5年間でGDP2%に引き上げると約11兆円。国債費を除いた政策経費80兆円超からすると約15%弱の支出で、米・中につぐ世界第3位の軍事費大国になる。一体、どこからこれだけの予算を捻出するのか。当然、社会保障、教育、医療などの歳出カットが標的となろう。
提言とは別に、維新や安倍元首相は「核共有」論を提唱した(核不拡散条約違反にあたる)。ウクライナ問題に乗じた悪乗りでは済まされない。憲法や国際法にも違反する言動を平然と行い、今の政治状況の危うさを体現しているように映る。
夏の選挙は、憲法そのものの行方もさることながら、平和主義の内容の改悪を許すか否かの分岐点となろう。我々は今、重大な選択の機会に立たされている。このことを肝に銘じ、誤りなき判断に努めなくてはならない。
鈴田 渉(大阪労働学校・アソシエ、憲法・政治学研究者)
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自民党は憲法をもてあそぶな
憲法施行75年の今年の憲法記念日は憲法制定以来、最大の試練の中で迎えたといっても過言ではない。人類史的大疫病といえる新型コロナウイルス感染症が未だ収束しない中の2月24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まった。ロシア軍は連日、病院や学校など無差別攻撃を行い、結果として子どもや病人などを含め多くの犠牲者が出ている。これらの行為は国連憲章や国際人道法等に明確に違反し、何ら擁護されるべきものはない。直ちに軍事侵攻を止め、ウクライナから撤退すべきだ。災害、疫病、戦乱と有史以来、人類は幾多の経験をしているが未だこうしたものの危機に晒されている。その意味では我々は歴史から何を学んできたのか、改めて問われよう。
さて、このような国内外の激動の中で考えるべき課題として、戦争と平和、民主主義、人権の基底をなす個人のいのちとくらしを保障する権利を提起したい。
コロナ禍では場当り的な対応に終始した政府に対して、野党は厳しく責任を問うのは当然だが、問いただすべき肝心の国会が開かれなかった。野党が一致して憲法に基づき政府に国会召集要求を行ったが、政府はこれを握り潰した。自分たちが批判の矢面に立たされるのは都合が悪いから国会は開かない。こんなご都合主義の政治がまかり通っていること自体、とんでもないことであり、不健全な民主主義状態といえよう。これを是とする政党に民主主義や憲法を語る資格などそもそもない。
さらに問題視したいのは、自民党の憲法改正・9条壊憲問題である。コロナで停滞していた改憲機運を盛り返そうと、「憲法改正実現本部(旧、推進本部)」を組織改編して全国キャラバンの展開を計画している。明文改憲については従来の改憲4項目(緊急事態条項、自衛隊の憲法への明記、国会議員定数配分における「合区」の解消、教育の充実)と変更はないが、若干の注意点だけふれる。
緊急事態条項創設については、以下2系統の提案をしていた。①緊急事態下での国会議員の任期延長。②国会が開会できず、政府は「法律」と同等の法的効果を有する「緊急政令」を発令する(事実上の「憲法停止」)。当初は人権制約など国民からの警戒を意識してか、②の案ではなく、①の国会議員任期延長のための緊急事態条項と自民党は主張していたが、最近の憲法審査会の自民党委員の発言には②を主張する者もいる。結局、自民党は世論の空気を見ながらの判断か。
「合区解消」のため、憲法に「地方」選出規定を明記するとしているが、そもそも国会議員は「全国民の代表」であり、齟齬を来たす。明文改憲で規定すると「地方」選出規定がネックとなって「完全比例代表」選出規定が導入できない可能性が生ずる。その意味では改憲ではなく、投票価値の平等のために人口に比例して定数配分を行う公職選挙法改正で充分だ。教育の充実も立法政策上の問題で、維新へのリップサービスだろう。
自衛隊の明記(明文改憲)よりもさらに重大なのは安倍政権時の「安保法制」整備に匹敵、いやそれ以上の、4月末に政府に自民党安全保障調査会が策定した「提言」である。
これは、年末までの「国家安全保障戦略」等の新たな策定に向けたものだが、「専守防衛」とは名ばかり、事実上、憲法9条を亡きものにしようという意図は明白である。①「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」に名称変更して保有し他国(ミサイル基地のみならず、指揮統制機能等も含む)への「先制攻撃」を容認。②5年以内に防衛費を対GDP比2%に増額。③サイバー・宇宙などハイブリッド戦に備えた装備、AI、無人機などハイテク兵器のさらなる開発・導入。これらの達成のための、産官学、軍産・軍学など共同・交流の推進。詰まるところ、軍事のため国のあらゆる人的・物的資源を投入するのだ。これでは戦前日本と同じではないか。また防衛費を5年間でGDP2%に引き上げると約11兆円。国債費を除いた政策経費80兆円超からすると約15%弱の支出で、米・中につぐ世界第3位の軍事費大国になる。一体、どこからこれだけの予算を捻出するのか。当然、社会保障、教育、医療などの歳出カットが標的となろう。
提言とは別に、維新や安倍元首相は「核共有」論を提唱した(核不拡散条約違反にあたる)。ウクライナ問題に乗じた悪乗りでは済まされない。憲法や国際法にも違反する言動を平然と行い、今の政治状況の危うさを体現しているように映る。
夏の選挙は、憲法そのものの行方もさることながら、平和主義の内容の改悪を許すか否かの分岐点となろう。我々は今、重大な選択の機会に立たされている。このことを肝に銘じ、誤りなき判断に努めなくてはならない。
鈴田 渉(大阪労働学校・アソシエ、憲法・政治学研究者)