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「戦争は絶対にしてはいけない」 空襲体験者らが口をそろえて訴え
第51回神戸空襲犠牲者合同慰霊祭

2022/04/13
神戸空襲で母親と兄を失った自分の父親の戦争トラウマなどを語る西下貴士さん=3月17日、兵庫区薬仙寺
 神戸空襲を記録する会が主催する第51回神戸空襲犠牲者合同慰霊祭が、77年前のこの日に神戸大空襲があった3月17日に兵庫区の薬仙寺で催された。
慰霊祭では、戦争の悲惨さや命の大切さへの強い思いを込めて、空襲犠牲者とロシアのウクライナ侵攻による犠牲者に黙とうをささげた。
 1945年5月11日の米軍の川西航空機への爆撃に遭い、東灘区で祖母と伯母を亡くした藤本吉江さんが、当時は軍国少女になっていて、悲しいというより「仇をとってやる」と思ったことを、その時の爆撃の怖さや、8月6日には焼夷弾攻撃も受けて炎の中を逃げた怖さもあわせて、自らの体験を語ってくれた。また、2度と戦争をしないためにと、学校などで体験を話してきたが、今回のロシアの戦争で無力感を覚えるとも述べた。
 西下貴士さんは、5年前に父親が亡くなったときに戸籍謄本を取り寄せ、4歳だった父親と一緒にいた祖母と伯父が6月5日の空襲で灘区の船寺通で亡くなったことを初めて知ったとのこと。その父親は祖母や伯父の戦災死や空襲体験を一言も話さなかったが、自分が子どものころ、テレビで『火垂るの墓』を一緒に見ていたところ、父親が突然うめき声をあげ、2階に上がって号泣していたことを記憶していると語った。亡くなる前の入院時にも空襲のことをうわごとで言っていたそうで、戦争のトラウマを改めて感じさせられる。
 今回は、母親から神戸空襲のことをずっと聞いていた、女優のまつむら眞弓さんから「何かお役に立ちたい」との申し出があり、三木谷君子さんの体験記『地獄の大輪田橋』を朗読していただいた。
 体験を語ることの大切さと、語り伝えるための試みを考える慰霊祭となった。
    (小城)