新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ386

2022/02/22
労働契約の大切さ
 
 シフト制で働く男性から、年次有給休暇の付与日数について相談があった。相談者は、365日、日中だけ運営している駐車場の管理業務で働いていた。高齢者ばかりの職場で週3〜4日のシフト制だった。労働条件明示書には「シフト制」と記載されているだけで労働日数や曜日などの特定はされていない。
 昨年4月から運営会社が変更されたため新たな契約になり、10月1日に年次有給休暇が付与される予定だった。相談者が付与されたのは「5日」だった。週の労働日数が4日以下の労働者は「比例付与」になり、「5日」は週3日の労働者に該当する。同僚たちは「7日」だったので会社に計算方法を確認した。
 会社からの回答は、週によって労働日数が違うため、直近3ヵ月の給与締切日(6月16日〜9月15日)で実際に勤務した日数で計算したという。相談者は、6〜8月は業務の都合で労働日数が少なかったという。
 厚労省は、2004年8月27日付け基発第0827001号(「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」)で、「予定されている所定労働日数を算出し難い場合には、過去6箇月の労働日数の実績を2倍したものを『1年間の所定労働日数』とみなして判断することで差し支えない」としている。相談者にはこのことを伝え、会社と協議することを勧めた。
 この相談で考えてみると、アルバイトや飲食業などで働く人も、年次有給休暇の日数は問題になるだろうと思った。年次有給休暇の付与日数は、労働契約に基づいて計算される。近年は、労働日を指定しない、働いてほしい時だけなど、あいまいな労働契約が目立つ。労使の双方にメリットがある場合もあるが、それでも、労働契約は「いつ働くのか」を明示しなければならない。あいまいにすることは、使用者に対する責任を軽減させるだけでなく、労働者も「働く」ことへの責任を軽視することになるだろう。それが法律を含む「労働環境」の改悪につながっていく。労働契約の重要性を知ってほしい。
 木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン書記長)