新社会兵庫ナウ

ジェンダーギャップの解消を
西宮市議会議員
 よつや薫

2022/01/19
 ジェンダー平等については、この紙幅だけではとても書ききれない論点があるが少し述べると、男女間の賃金格差は縮まらず、非正規に占める女性割合は減らないどころか、相変わらず調整弁に使われ、コロナ禍で仕事を失う多くは女性であり、その間の女性の自殺者も増えている。また、性暴力、セクハラ、DVの被害者は圧倒的に女性であって、これらはジェンダーギャップ社会の実態の露出にすぎない。
 そもそも、ジェンダーとは社会的・文化的に形成された性別のことである。「わきまえる女」を求める男性ジェンダー本位の考え方が社会に残り、男性が圧倒的多数を占める政治の世界でも反映され続けてきた。
 それでも1999年、「男女共同参画社会基本法」が成立したが、そのころから、この基本法の理念に逆行する、いわゆるジェンダーフリー・バッシングの嵐が吹き荒れる。この“バックラッシュ”は、後年、政治的権力を濫用することになる安倍晋三議員が深く関わっていた日本会議の宗教的理念に従って「男女平等」(≒ジェンダーフリー)に逆行する“バックラッシュ”を仕掛けたことが明らかになっている。
 その動きもあり、世界における日本のジェンダーギャップ指数の順位(2021年は156カ国中120位)は、低迷したままである。
 一方、2015年、国連が定め、翌年日本も指針を策定した「持続可能な開発目標」いわゆるSDGsには17の目標が設定されている。その目標5に「ジェンダー平等を実現しよう」という開発目標がある。
 すべての女性や女児が最大限に能力を発揮できる社会をつくること、性別にかかわらず平等に機会が与えられる社会をつくるという目標である。しかし、この目標5に限らず、17の目標すべてにジェンダー課題を盛り込むべきであるという考え方がある。それによって、より確実なSDGsの実施が可能であるとされている。それほどまでに、ジェンダーギャップの解消が、持続可能な社会の実現に向けても急務なのである。
 1999年に国連で採択され、女性差別撤廃条約締約国189カ国中114カ国が批准している女性差別撤廃条約選択議定書は、批准すれば、個人通報制度や調査制度が国内で適用され、日本の司法判断が国際基準に照らして評価されることになり、日本の女性の権利を国際基準にする最も有効な方法となる。
 しかし、2021年末現在、未だ、日本政府は批准に至っておらず、その時期も明らかにされていない。
 この国は、しばらくジェンダーギャップ後進国に甘んじるつもりである。