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2022年を展望する
私たちの運動課題

2022/01/20
原点から運動を立て直そう
 
 今年も、感染力の強いオミクロン株の蔓延で不安な幕開けとなりました。しかし、闘いの課題は山積みです。
 正しく知り、正しく恐れる。注意を払いながらも闘い続けるしかありません。
 
 まずは、参議院選挙
 先の衆議院選挙では、自民党が過半数を確保し、維新の急伸によって自公に維新を加えれば改憲発議に必要な3分の2議席が奪われてしまいました。維新の急伸によって、自民党以外の党から改憲の声を上げさせる―、まさに改憲勢力の望む布陣が出来上がりました。
 参議院は3年前の野党の善戦でかろうじて改憲発議を食い止めることのできる議席を維持しています。改憲を許さない闘いを強めなければならないことは言うまでもありませんが、夏の参議院選挙では立憲野党の議席を伸ばし、改憲発議を許さないだけの議席を維持し、改憲勢力の勢いを削ぐことが課題となります。
 いま、立憲野党の協力に消極的な意見がつくりあげられています。しかし、冷静に見れば、敗れたところでも選挙協力が進んだ小選挙区では投票率を引き上げる、各党の比例票を超える票を獲得しているとか、大きな成果を上げています。参議院選挙において選挙協力が後退するようなら一気に有権者の失望を広げてしまうことになります。
 今は後ろ向きの総括を行う時期ではありません。
 衆議院選挙では(兵庫県内に限ってみれば)、立憲各党が希望に燃えた若い候補を立候補させながら、維新の跳梁を許すという悔しさが残る結果となりました。敗北から学び、きちんとした闘争態勢づくりをいかに行うかが議論すべきものです。
 
防衛費、GDP比2%を許してはならない
 自民党の選挙公約では、防衛費のGDP比2%増額でした。もし、2%となれば米中に次ぐ世界第3位の軍事大国となります。
議席の過半数を維持したことで自信を持った彼らは、1年かけて「防衛大綱」や「中期防」の見直しを行うと言っています。見直しのなかには、これまでタブー扱いであった「敵基地攻撃能力」も含まれています。「敵基地攻撃(反撃であったはずだがいつの間にか攻撃となっているのも問題)能力」論は「専守防衛」の枠内になじまないと詰めた議論は避けられてきたものです。万一攻撃されたらどうするのか、それは米軍に委ねるという整理でした。今日の米中の対立激化にともなって、中国に対抗できるための中距離ミサイルの配備論が高まり、また、維新などの好戦的政党が勢いを持ってきたことなどを受けて軍事力強化を図ろうとするものです。年末に閣議決定された概算要求でも、現有ミサイルの射程を百数十㎞から1千㎞に改修するための予算が組まれています。
 ちなみに、アメリカへの従属論をとる人たちは中距離ミサイル配備がアメリカによる押し付けだという解釈をしていますが、これはあまりにも日本の支配層に甘い分析です。いつも日本の支配層は、外圧を口実に都合よく政策を進めてきた前科があります。米中対立の激化、マスコミや国民の世論の変化こそ、かねてからの独自の軍事力拡張の追い風にしようとしているのです。南西諸島の要塞化と南西諸島重視の隊員配備も同様です。
 世界的な軍拡競争に対抗できるのは世界的な平和を求める運動の高まりです。新社会党は「非武装中立」を党是として掲げています。国内の軍拡を許さない闘いを強めるとともに核兵器禁止条約に日本の参加を求めるなど世界的な平和運動との連帯が求められています。
 
力は闘いのなかでつくりだすしかない
 維新についてはたくさんの方が論じていますので、詳細は割愛します。
 ただ、新自由主義の権化である維新がなぜ支持を集めるのか。一つは閉塞感に対するいら立ちで、だから「やってる観」に騙されてしまいます。臨調・行革以来の新自由主義で、自助、自己責任、頼るのは自分だけ、あえていえば労働組合も弱い、とかのすさんだ心が蔓延しています。
 この流れを変えるには少し時間はかかっても、原点から運動を立て直すしかないと思います。政治主義的な、どこかの政党に希望を託すということではなく、経済的課題であれ、政治的課題であれ、自ら闘いをつくり、討論し、仲間の繋ぎあいを強めていくしかありません。権利は自ら闘い取るもの、こういう人たちが増えれば、維新の跳梁の基盤は崩れると思います。
 最近、アソシエという言葉をよく聞きます。まったく同じものではないでしょうが、コミュニティーの再建ということも多く聞きます。もちろん、本紙の読者の多くも、職場の団結づくりに取り組み、地域のボランティア活動に取り組んでおられると思います。
 しかし、まだ少数派です。もっと多くの人々にこの運動を広げていきましょう。
 荒れ地に種まくのは私たちです。  
 津野公男(憲法を生かす会・尼崎)