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危険な軍拡の道歩岸田政権
防衛費予算は過去最大規模に

2022/01/20
「空母いずも」に搭載されるF35戦闘機
 総額6兆円超の防衛費
 政府は昨年12月24日、2022年度予算案を閣議決定した。このうち、軍事関連予算案は、「敵基地攻撃能力も含め……検討し、防衛力を抜本的に強化」とし、軍拡・改憲を呼びかけた昨年の臨時国会での岸田首相の所信表明演説を踏襲・反映したもので非常に危険な予算案だ。
 軍拡への危険な動きはすでに規制事実化が進んでいる。政府が22年末に改定をめざす中期防衛力整備計画(中期防)では、防衛費の5年間の総額を初の30兆円台とする調整に入っており、これを反映させるため、22年度予算案では8年連続の増額、過去最大規模の5兆4千億円が計上され、21年度補正予算7700億円を合わせると、「防衛力強化加速パッケージ」と政府が銘打つ総額6兆円を超えるものとなった。
 21年4月の日米共同声明では新時代の日米協力のあり方として「日本は自らの防衛力を強化することを決意した」と盛り込み、その具体化が中期防増額だ。アメリカは安全保障の関心を東アジアとインド太平洋にシフトしており、同盟国の日本に応分の負担を要請している。
今回の予算で特徴的なのは、敵基地攻撃能力保有につながる計画だ。敵の射程圏外の位置から攻撃ができる「スタンド・オフ防衛能力」として、最新鋭のステルス戦闘機F35の取得や国産巡航ミサイルの開発などが盛り込まれた。
 政府はこれまで当初予算の防衛費の目安をGDPの1%以内という枠をはめてきたが、22年度は補正予算を加えると6兆円規模の予算案(GDP比1・1%)でこの枠を超えることになり、自民党が先の衆院選で公約にした「対GDP比2%以上も念頭に増額をめざす」は将来、現実となりつつある。
 
 「同盟強靭化」へ質的変化する思いやり予算
 また、思いやり予算(在日米軍駐留経費負担)については、日米両政府で22年度から5年間、年平均2110億円規模とすることが昨年末すでに合意され、これを反映して現行水準より年100億円規模の増額の2056億円となった。今年1月上旬にも日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で特別協定が締結される予定だ。
 日本はこれまで思いやり予算で米軍基地内施設の光熱費の費用、従業員の給与、隊舎の整備費などを肩代わりしてきたが、今回の合意では、日米同盟に基づく抑止力強化のため、26年ぶりに新たな項目として、米側が求める自衛隊と米軍の共同対処能力強化のための「訓練資機材調達費」が新設された。思いやり予算は、これまで日本による支援の意味合いが強かったが、今回から政府は「同盟強靱化予算」と看板を掛け替え、駐留経費の肩代わりから、実戦的な対処能力の向上に質を変化させ、比重をその方に移しつつあり、次回以降の交渉で「訓練資機材調達費」の負担がさらに増加する恐れもある。
 (平和運動研究会・中村伸夫)