新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ 384

2022/01/19
労働基準監督官は労働者の味方のはずだが
 
 飲食店の店長に、閉店後の深夜1時に社長から電話があり、1時間近くにわたってネチネチと因縁をつけられ、「家に住めんようにしたるぞ」などと脅されたことから恐ろしくなり、店長は上司に「今日で辞める」と電話で伝えた。すると会社の弁護士から「10月の賃金は支払わない」「損害賠償を求める」などとする内容証明郵便が届いた、とユニオンに相談があり、交渉で解決することとなった。
 ユニオンは、会社に団体交渉を申し入れるとともに、本人に監督署へ申告するよう指示した。ところが監督署からは、「労働組合で交渉しているのなら申告を受理しない」と言われた。すぐに監督署に連絡すると、対応したのは相談員だった。「申告しているのに、なぜ監督官ではないのか」と追及すると、監督官と電話を替わったが、埒が明かない。労働局に連絡し、申告を受理しない理由を問い質したら、それはおかしいと言うことで、当該の監督署を指導するように求めた。その後、再び本人が申告したが、再度「受理できない」というのである。
 労働基準監督官は司法警察職員であり、労働基準法違反を取り締まる役人である。当事者から賃金が支払われないとの申告があれば、それを調査し、事実であれば是正・指導し、悪質な場合は書類送検するのが仕事だ。だから労働者からの申告を受理しないこと自体が問題である。
労働組合は、団体交渉で解決を目指すが、監督署などを活用してよりスピーディーに解決を促進させる。会社は、労働者への嫌がらせで「賃金」を人質にしている。だから、監督署から法違反を指摘されれば、従わざるを得ない。
 労働基準法は労働基準の最低を定めた法律である。違反するのは使用者だ。だから監督官は労働者の味方のはずだ。監督署は労働組合ともっと協力し合う関係でなければならない。
 塚原久雄(武庫川ユニオン書記長)