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遊園地やプールがなくなる?!
広がる驚き、疑問、反対の声
神戸市の王子公園再整備素案

2022/01/19
王子公園の再整備素案についての集会「市民ミーティング」の呼びかけをする新社会党灘総支部のメンバーたち=1月9日、神戸市灘区
 (上)王子公園の現状(下)再整備計画素案

 「えっ、遊園地がなくなる?」「プールもなくなる?」「なんで今、大学誘致?」―、昨年11月中旬、神戸市が明らかにした、市立王子動物園を含む王子公園(神戸市灘区)の再整備基本方針(素案)をめぐって、この内容を知った市民から驚きと疑問、そして反発の声が広がっている。
 
 市は昨年1月、交通至便な駅前という立地の特性や教育・文化施設が集まる文教エリアの特徴を活かし、大学の誘致や今あるスポーツ施設の再編、開園70年を迎えた動物園の改修などの構想を打ち出していたが、このほど明らかにされた再整備の基本方針(素案)では以下のような内容が示された。
 現在の王子スタジアムと補助競技場を廃止してそのエリアに大学を2022年度に公募、動物園は「都市型動物園」にリニューアルし、開園以来ずっと市民に親しまれてきた遊園地を廃止して立体駐車場を設置、スポーツ施設についてはサッカーやアメフトなどの球技利用を中心としたスタジアムを公園の北側に新設し、集約する。それによってプールやテニスコートは廃止などとするものだ。動物園改修の基本構想の策定はすでに作業が進められているが、運営が市から民間に移される可能性も示唆されており、そうなれば須磨水族園のように教育的側面や低料金での利用も危ぶまれる。
 だが、こうした素案について、市が開いた説明会は12月7日に開かれた1回のみ。その説明会も地域の自治会役員や婦人会を中心にしか広報されておらず、素案は新聞報道で知ったという人がほとんどだ。
 12月10日から1月17日までの期間で意見募集(パブリックコメント)がされているが、年末年始をはさんで実質的には短すぎで、「市民不在だ」との声もあがっている。
 7日の説明会でも、「事前になにも知らされていなかった」「なぜ大学なのか、もう決まっているのか」「市は住民の意見を聞く気があるのか」など多くの不満や疑問、反対の声が出た。また、12月20日には市民有志による集会が開かれ、約100人が参加してワークショップ形式で活発な意見交換が行われた。
 こうした動きのなかで、新社会党灘総支部などは「計画の白紙撤回」を基軸に、幅広く市民の意見を出し合う場をつくり、神戸市に素案の見直しを求めていこうと実行委員会を立ち上げ、1月16日には動物園ホールで「王子公園の未来を描く 市民ミーティング」の開催を予定、その呼びかけのチラシ配布やスタンディングも精力的に行っている。