新社会兵庫ナウ

水脈(2020年3月24日号)

2020/03/24
 新型コロナウイルス対策から国の姿勢がよく見えてくる。対策費の総額も、香港や韓国は1兆円を超しているが、日本はわずか153億円と桁違い。マスクの例も解かりやすい。さいたま市で備蓄マスクの配布対象から朝鮮幼稚園を除外していたという差別の実態が明らかになった▼自給率が低いのは食料だけではなく、100円ショップの品物・衣料品でもメイドイン海外。外国人労働者を国内外で安く使い儲ける企業。新型コロナウイルスの教訓から、困った時こそ助け合える外交が求められる▼催事の中止が続く。3月11日、東日本大震災の被災地でも追悼式が中止されたり規模が縮小された。避難者は今なお5万人に近いとのこと。津波で失われた命やまちのことについて、11日以外はあまりにも報道が少なかった。多くの犠牲者が出た自治体のドキュメンタリーを見たが、今ようやく当時の話ができると語っていた。「原発さえなかったら……」と自ら命を絶った牧場主のことを思い出す▼汚染水の海洋放出案は漁業者の不安をさらに大きくしている。今、若狭の老朽原発の再稼働を関電と政府は画策しているが、この9年間の大きな犠牲から学んだことは何だったのか。許してはならない。