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教科書検定と採択を考える
加古川で「憲法カフェ」
憲法を生かす会・加古川・稲美・播磨

2021/11/30
「学校教育の今を考える」として元高校教員の山本紀子さんが語った=10月31日、加古川市
 憲法を生かす会・加古川・稲美・播磨は10月31日、第8回憲法カフェを加古川市内で開いた。今回のテーマは「学校教育の今を考える2 教科書検定と採択〜歴史学習はどうなっているの?〜」。
 2018年の憲法カフェでも「学校教育の今を考える」と題し、「道徳の教科化」の問題を中心に学んでおり、今回はそれに次ぐもの。当時の「教育改革」にはもう一つの柱として「教科書制度の改革」があったが、「検定」と「広域採択制」という国際的にも異例な制度により、教科書によるイデオロギー支配が可能になる制度だ。そこで今回、改めて山本紀子さん(元県立高校教員)に講演を依頼した。
 教科書が使用されるまでの基本的な流れは、学習指導要領や教科用図書検定基準などにもとづく「著作・編集」、文科省の教科書調査官による「検定」、所管の教育委員会・校長による「採択」と、恣意的に選ばれた者たちの方向性で決められている。「開かれた採択」というが、実際には自民党や外部からの不当な動きなどがあり文科省で歪められている。実際、実教出版の歴史総合では「いわゆる『従軍慰安婦』など、政府は解決済みとしているが、問題が多い」との部分が「いわゆる『慰安婦』など……」に記述変更され、東京書籍の日本史Bでは「強制連行された労働者」が「強制的に動員された労働者」と記述変更されている。
 旧安倍政権による教育基本法改悪以降、2015年には当時の橋下大阪府知事が大阪市教委の育鵬社の歴史と公民の教科書採択に介入するなどの事態が起き、「首長は教科書採択において、意に沿う結果を得るためには教育委員を入れ替えろ」と発言する始末である。
 憲法カフェでは、歴史の事実を知るための行動や、憲法に基づき民主的な教育が守られるように教育現場や社会状況を注視していく必要性が訴えられた。
    (藤井)