新社会兵庫ナウ
水脈(2021年10月27日号)
2021/10/27
「傀儡」。読むことはできても、漢字で書けと言われれば難しく、響きもなんだか仰々しい。ただ、意味は簡単だ。辞書には「あやつり人形」「くぐつ」「でく」、転じて「人の手先になってその意のままに動く者」とある▼自民党新総裁選びからこのかた、この言葉がよく出てくる。言うまでもなく新総裁、新首相を揶揄してのことだが、総裁選での主張、臨時国会での所信表明演説、そして総選挙での自民党の政権公約と局面を経るにつれ、「傀儡」が真実味を帯びてくる▼総裁選の出馬会見では「民主主義の危機」「新自由主義からの脱却」など、驚くような言葉も飛び出したが、総裁選での「令和版所得倍増」「金融所得課税の強化」等の看板政策は、首相の所信表明演説では大きくトーンダウン。総選挙での自民党の公約ではまったく消えてなくなってしまった▼「特技は、人の話を聞くこと」とことさらに言い募ることが可笑しいが、「誰の話を聞くことなのか」「聞きすぎてはいないか」とツッコミを入れたくなる▼傀儡にはそれを操る傀儡師がいる。体調を理由に一度ならず二度も政権を投げ出した御仁が元気に傀儡師としてふるまい、傀儡はその意を受けて、ついに改憲までも強調しだした。