改憲の動きをウオッチング

2021年10月13日号

2021/10/13
■改憲に意欲 「任期中にめどを付けたい」 岸田新総裁(首相)
 菅首相の政権投げ出しで、自民党の総裁選挙が鳴り物入りで行われ、9月29日の両院総会で岸田文雄前政調会長が第27代総裁に選出された。
 10月4日の臨時国会で第100代首相に指名され、所信表明演説を行うが、ここでは原稿締め切りの関係で記者会見や討論会などにおける主な発言(総裁選公約)を拾った。
《改憲》
  時代の変化に対応した改正をしっかり進めていく。改憲4項目については取り組みを進めていく。次期総裁としての任期中に改正の実現を目指していきたい。少なくとも任期中にめどはつけたい(毎日)
 自衛隊の明記は、自衛隊の違憲論争に終止符を打つ大変、重要な課題。「災害の時代」と言われる中、緊急事態において国会の権能をいかに守るかも重要だ(NHK)
《学術会議任命拒否》
 すでに行われた人事をひっくり返すことは考えていない(毎日)
《森友文書改ざん》
 森友問題は行政において調査を行い報告書が出されている。司法でも検察の調査が行われ、裁判が行われている。政治の立場から説明する(毎日)
《安全保障》 
 海上保安庁の能力強化と自衛隊との連携、ミサイル防衛力の強化、国家安全保障戦略の改定(自民党HP)
《経済政策》
 新しい日本型の資本主義を構築する。新自由主義的な政策を転換し、格差是正を行う(毎日)
《コロナ対策》
 当面の目標は、ウイズコロナを前提にワクチン接種完了と経口薬の年内普及に全力(自民党HP)
■学術会議任命拒否 安倍・菅政治の本質は
 菅内閣による日本学術会議の新会員任命拒否から1年。6人の任命拒否問題を鋭く批判し、抗議のネット署名を呼びかけた一人である日本大学の古川隆久教授が毎日新聞に寄稿している。紹介しながら、改めて安倍・菅政権の体質を検証してみる。
 古川氏は、拒否問題は「1983年に政府が国会で公言した、学術会議の推薦者は拒否しないという方針を、いつのまにかこっそりと変えていたことである」と指摘し、「政府が方針を変えたいのであれば、国会でその意思を表明し、それについて公に議論し、その上で政府の方針への賛意が多いなら変えればよい」と強調している。オープンな議論も行わず、理由も明らかにせず任命拒否のようなことが許されるならば「研究者の側は『忖度』せざるを得ず、きわめて不公正な状態に陥る」、忖度が広がれば「事実上、学問の自由が失われることなのである」と。
 拒否問題は、「面倒な説明はせずにやるべきだと思ったことはやるという、菅首相の政治手法、ひいては菅内閣の体質をよく表すものだ」。この手法はコロナ対策でも、東京オリ・パラでも同じだった。
 まもなく総選挙だが、「ここ数年の日本政治を顧み、よりましな政治を実現できるかどうかは有権者の一票にかかっている」と結んでい