新社会兵庫ナウ

水脈(2021年10月13日号)

2021/10/13
 内橋克人さんが9月、亡くなられた。神戸新聞記者を経て、フリーのジャーナリストとして歩まれた生涯は、一貫して市井の人々の目線で社会経済を追及するものであり、その著書や語りに勇気づけられた方々も多いのではないか▼もう20年も前のこと。板宿駅前で新社会党の街宣をしていた時。静かに歩み寄られて来たその人が内橋克人さんだった。「戦争で失った大切な人の墓参に神戸に帰省中なのです」「応援していますよ、頑張ってください」。何とも心強い一言であり、神戸出身である内橋さんに恥ずかしくない活動でありたいと考えたことを思い出す▼内橋さんは、小泉・竹中が推し進めた際限ない構造改革・規制緩和策に対し、いち早く市場原理至上主義と呼び、鋭く批判した。特に尊厳をもって生きるためにある「働く」という営みの破壊につながる「貧困の装置化。より安く、より過酷な労働も甘受できるような貧しい人々を生み出す社会」への危機感を労働規制の緩和に視点を当て厳しく批判した▼自治体や地域社会の「グローバルに対抗する試み」の紹介や、市場原理主義に対し、F(農業・食糧)・E(エネルギー)・C(福祉)自給圏の提唱は、今、もっと深く聞きたい内容であった。