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私の主張(2021年9月14日号)
2021/09/14
政治の変革への絶好の機会
野党共闘の真価問われる時
政権延命の手だては万策尽きた。今月3日になって菅首相の口から表明されたのは総裁選不出馬、すなわち首相退任の表明であった。「総裁選立候補の意向を二階幹事長に伝えた」との前日の報道から一夜にして一転した、驚きの不出馬表明であった。党内の権力闘争の闇の深さは私たちには知る由もないが、追い詰められたあげくの奇策も実らず、八方塞がりの末の退陣劇となった。
退陣という事態は、たしかに直接的には党内の政争に敗れた結果であろうが、菅政権をここまでの窮地に追い込んだのは、首相自らの失政が招いたものとはいえ、間違いなくコロナ対策をめぐる国民の怒りと不満の大きさである。国民に語るべき自らの言葉も持たず、説明すらしようとしないその政治姿勢への不信と失望感である。
今日時点(9月4日)では9月17日告示、29日投開票の自民党総裁選への立候補の顔触れもまだ確定的ではないが、まず私たちが警戒しなければならないのは、この茶番劇のような総裁選の喧騒に負けてならないということだろう。すでに始まっているが、マスコミが今後連日大きく報道するであろう自民党総裁選挙によって、来る総選挙の意義やその争点をぼかされ、場合によっては”疑似政権交代”のような演出までされて、国民のこれまでの不満と怒りをかすめ取られてはならないということだ。
「野党が見えない」と意図的に揶揄する評論家のコメントも連発されるかもしれない。
だが、自民党の「選挙の顔」が誰になろうと、コロナ禍に対応しきれず医療体制の危機をもたらし、国民の生活や営業を大きな不安に陥れてきた自民党政治、自公政権そのものがその責任を追及され、国民の審判を受けなければならないのだ。自民党総裁選を決して彼らの窮地脱出の方途にさせてはならない。
総選挙(ケースによっては任期満了後の11月にずれ込む可能性もある)でなによりも実現すべきは、民主主義を蹂躙しつづけ、国民の命と暮らしを軽んじ、戦争する国へと歩み続けてきた安倍〜菅政権に代わる、国民の命と暮らし最優先の政治への転換であり、政権交代への展望である。今が絶好のチャンスだ。
ただ、そうした自民党政治への不満と批判が、政権を補完する右翼的勢力である日本維新の会への期待と支持の広がりに流れる可能性も大いにありうる。こうした流れにも私たちは警戒し、これを阻まなければならない。
その意味でも、有権者から問われているのはむしろ立憲野党の側であり、総選挙で勝利できるか否かはひとえに立憲野党自身の責任であると言えよう。安倍政権からひきつづく菅政権の政治に辟易してきた国民の思いに応え、希望を託せられるような受け皿に立憲野党とその共闘はなりうるのかどうか。安心と希望を見出せるような政策を示すことができるのかどうか。勝負はそこにかかっている。
いま、立憲野党間の候補者調整は遅れており、まだ期待に応えられるような野党共闘の政策や姿は十分に見せられてはいない。まずは野党共闘、市民と野党の共闘の整備であり、その政策の魅力と質を高めることが急がれる。
そこで、そうした選挙、野党共闘にかかわる新社会党の課題は何か、改めて問い直してみたい。残念ながら、新社会党は今回の総選挙には自分たちの候補者を擁して野党共闘に臨んでいける状況にはなく、選挙・政策協定にもとづき、他党の候補者を野党統一候補として支援する立場である。
だが、たんに共闘における応援部隊にとどまっているわけにはいかない。それでは疲れが残るだけである。問われるのは、選挙に関わる私たち自身の主体的な目標がはっきりしているだろうかということだ。この間、新社会党は、今年の総選挙、来年の参議院選挙、そして2023年の統一自治体選挙と続く一連の選挙闘争を一体のものとしてとらえ、この一体となった闘争の流れのなかに主体的にかかわり、選挙の直接の勝利をめざすとともに、次につながるものをつくり出そうと確認してきた。選挙闘争のなかで、自分たちの力をより強く、大きくしていこうということだ。端的に言えば、”人”という財産、”人と人のつながり”という財産である。次の選挙をたたかう土俵(条件)を広げるということでもあり、場合によってはその土俵の上でたたかう力士(候補者)をつくるということでもある。そして、”組織”の強化である。
自らの力を強めていくことは野党共闘の力を高めていくことにも通じる。それは、次の参院選、さらに自治体選挙にも連なる課題である。
政治を変革する大きなチャンスである。そのチャンスを生かせる主体の強化を、野党共闘の一角に関わる新社会党としてしっかり担い、信頼を得ていこう。仲間とつながろう。新たな仲間をつくろう。(9月4日記)
上野恵司(新社会党兵庫県本部副委員長)
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野党共闘の真価問われる時
政権延命の手だては万策尽きた。今月3日になって菅首相の口から表明されたのは総裁選不出馬、すなわち首相退任の表明であった。「総裁選立候補の意向を二階幹事長に伝えた」との前日の報道から一夜にして一転した、驚きの不出馬表明であった。党内の権力闘争の闇の深さは私たちには知る由もないが、追い詰められたあげくの奇策も実らず、八方塞がりの末の退陣劇となった。
退陣という事態は、たしかに直接的には党内の政争に敗れた結果であろうが、菅政権をここまでの窮地に追い込んだのは、首相自らの失政が招いたものとはいえ、間違いなくコロナ対策をめぐる国民の怒りと不満の大きさである。国民に語るべき自らの言葉も持たず、説明すらしようとしないその政治姿勢への不信と失望感である。
今日時点(9月4日)では9月17日告示、29日投開票の自民党総裁選への立候補の顔触れもまだ確定的ではないが、まず私たちが警戒しなければならないのは、この茶番劇のような総裁選の喧騒に負けてならないということだろう。すでに始まっているが、マスコミが今後連日大きく報道するであろう自民党総裁選挙によって、来る総選挙の意義やその争点をぼかされ、場合によっては”疑似政権交代”のような演出までされて、国民のこれまでの不満と怒りをかすめ取られてはならないということだ。
「野党が見えない」と意図的に揶揄する評論家のコメントも連発されるかもしれない。
だが、自民党の「選挙の顔」が誰になろうと、コロナ禍に対応しきれず医療体制の危機をもたらし、国民の生活や営業を大きな不安に陥れてきた自民党政治、自公政権そのものがその責任を追及され、国民の審判を受けなければならないのだ。自民党総裁選を決して彼らの窮地脱出の方途にさせてはならない。
総選挙(ケースによっては任期満了後の11月にずれ込む可能性もある)でなによりも実現すべきは、民主主義を蹂躙しつづけ、国民の命と暮らしを軽んじ、戦争する国へと歩み続けてきた安倍〜菅政権に代わる、国民の命と暮らし最優先の政治への転換であり、政権交代への展望である。今が絶好のチャンスだ。
ただ、そうした自民党政治への不満と批判が、政権を補完する右翼的勢力である日本維新の会への期待と支持の広がりに流れる可能性も大いにありうる。こうした流れにも私たちは警戒し、これを阻まなければならない。
その意味でも、有権者から問われているのはむしろ立憲野党の側であり、総選挙で勝利できるか否かはひとえに立憲野党自身の責任であると言えよう。安倍政権からひきつづく菅政権の政治に辟易してきた国民の思いに応え、希望を託せられるような受け皿に立憲野党とその共闘はなりうるのかどうか。安心と希望を見出せるような政策を示すことができるのかどうか。勝負はそこにかかっている。
いま、立憲野党間の候補者調整は遅れており、まだ期待に応えられるような野党共闘の政策や姿は十分に見せられてはいない。まずは野党共闘、市民と野党の共闘の整備であり、その政策の魅力と質を高めることが急がれる。
そこで、そうした選挙、野党共闘にかかわる新社会党の課題は何か、改めて問い直してみたい。残念ながら、新社会党は今回の総選挙には自分たちの候補者を擁して野党共闘に臨んでいける状況にはなく、選挙・政策協定にもとづき、他党の候補者を野党統一候補として支援する立場である。
だが、たんに共闘における応援部隊にとどまっているわけにはいかない。それでは疲れが残るだけである。問われるのは、選挙に関わる私たち自身の主体的な目標がはっきりしているだろうかということだ。この間、新社会党は、今年の総選挙、来年の参議院選挙、そして2023年の統一自治体選挙と続く一連の選挙闘争を一体のものとしてとらえ、この一体となった闘争の流れのなかに主体的にかかわり、選挙の直接の勝利をめざすとともに、次につながるものをつくり出そうと確認してきた。選挙闘争のなかで、自分たちの力をより強く、大きくしていこうということだ。端的に言えば、”人”という財産、”人と人のつながり”という財産である。次の選挙をたたかう土俵(条件)を広げるということでもあり、場合によってはその土俵の上でたたかう力士(候補者)をつくるということでもある。そして、”組織”の強化である。
自らの力を強めていくことは野党共闘の力を高めていくことにも通じる。それは、次の参院選、さらに自治体選挙にも連なる課題である。
政治を変革する大きなチャンスである。そのチャンスを生かせる主体の強化を、野党共闘の一角に関わる新社会党としてしっかり担い、信頼を得ていこう。仲間とつながろう。新たな仲間をつくろう。(9月4日記)
上野恵司(新社会党兵庫県本部副委員長)