新社会兵庫ナウ
水脈(2021年8月24日号)
2021/08/24
8月は戦争を2度とくり返さないと誓う特別な月だ▼戦争を語り継ぐ書『「ヒロポン」と「特攻」―女学生が包んだ「覚醒剤入りチョコレート」』を読んだ。美化して語られる「特攻兵」、国のために命を捧げる教育の怖さ、なぜ戦争は止められなかったのか等々、考察が鋭い。今、戦争のできる国にしたいと思う人が増え、若い世代が保守化していることを危惧した大阪の元教員、相可文代さんの自費出版本である▼「オリンピックと戦争」と題した鵜飼哲一橋大学名誉教授のある新聞記事も読んだ。「平和の祭典」と言われてきた近代オリンピックだが、戦争の歴史と切り離せないと述べる。かつてはスポーツの目的が軍人の養成で選手は男性のみ、女性は月桂樹を授けるだけだった。IOCは第1次大戦に向かう歴史の傾斜に抗うこともなく、1936年のベルリン大会からは軍隊が本格的に関与し、64年の東京大会では憲法違反の存在だった自衛隊の好感度アップに利用し、現在は「テロ対策」の名のもと、「地対空ミサイル」の配備などが開催に不可欠になっているという▼明文改憲による自衛隊の国軍化の策動が進むなか、「平和の祭典」は戦争準備であることを直視せよと、鵜飼教授は警告している。