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新たな生活支援策が急務
コロナ禍の休業・自粛で「特例貸付」が1兆円超え

2021/08/10
 新型コロナウイルスの影響で困窮する世帯への特例貸付け(無利子)の利用額が1兆円を超えた。リーマン・ショック時の50倍、東日本大震災関係の100倍にもなった。
 特例貸付には、最大20万円の「緊急小口資金」と9カ月間で計180万円を貸す「総合支援資金」の2種類あり、両方で最大200万円まで無利子で借りられる。しかし、上限まで利用し、新たな貸し付けを受けられなくなっている世帯は約31万世帯に上っている。コロナ禍で失業や休業等により、生活を維持できずに困窮に陥る恐れが広がっている。新たな緊急生活支援が急務である。
 厚労省によると、7月3日時点で緊急小口資金の利用は128万世帯、総合支援資金を上限まで借りた人は約31万世帯に上っており、貸付総額は、計1兆472億円になる。
 明石では1年間で相談が約9千件だ。明石市社会福祉協議会には、昨年の4〜6月、コロナ特例貸付について市民の相談が毎月1千件を超えた。コロナによる失業や休業、雇い止めなどで生活に困窮し、日常生活の維持が困難になった市民の相談に忙殺されたそうだ。今年も3月の相談は1千件を超えた。
 国は8月末まで貸し付けを延長したが、今後も生活支援を求める状況が続くと思われる。困窮者は社会的に孤立しやすく、相談体制の充実と多様な支援策が不可欠である。失業や休業、雇い止めが長引けば、返済は不可能になる。無利子での返済猶予や大幅収入減少者や低所得者には返済免除も検討すべきである。
(永井俊作)