新社会兵庫ナウ

新社会党・震災25年アピール
(2020年1月21日号)

2020/01/17
阪神・淡路大震災から25年――。
     今こそ非軍事の災害救助隊を

 阪神・淡路大震災から節目となる25年を迎えた。だが、まだ多くの課題が山積し続けている。
 借上げ復興住宅の問題で、行政は入居者との契約を理由に20年での返還を迫り、神戸市は12世帯に明け渡しと損害賠償を求める訴訟を起こし、西宮市も7世帯を提訴している。入居者には何らの非もなかったにもかかわらず、家賃滞納者と同じ扱いを行い、提訴を行うというのはあまりにも理不尽で、冷たい対応だ。神戸市長は「退去の是非については、話し合いの余地はない」としているが、神戸市や西宮市は提訴を取り下げ、あくまで話し合いでの決着をめざすべきである。
 震災アスベストによる健康被害も深刻だ。震災後に解体現場などで働いていた6人がアスベストによる悪性中皮腫で亡くなっている。そこで働いていた労働者はもちろんのこと、周辺住民への影響も十分考えられる。アスベストによる悪性中皮腫や肺がんは暴露後、早い人で10年、30年後からは急増し40年後にピークになると言われている。アスベスト関連疾患発症の時期を迎える今、住民も含めた健康被害が一層顕著化するおそれがある。今後も早期に健康被害を発見できる検診体制が自治体や国に求められる。
 東日本大震災からもまもなく9年を迎える中、政府は震災の教訓を顧みず、原発の再稼働に向け突き進んでいる。
 また、昨年も台風19号、21号の大雨による大規模自然災害が相次いだ。阪神・淡路大震災の教訓や運動をもとにつくられた「被災者生活再建支援法」は、対象者は全壊・大規模半壊のみで、半壊以下世帯の救済は盛り込まれていない。さらに一定基準以下の小規模災害には適用されず、支給金額のことも含め今後の大きな課題として残されている。国は昨年の台風19号、21号の被害状況を受け、「一部損壊」を災害救助法に基づく応急修理制度の対象に加えたが、生活再建には程遠い金額である。従って、この間の大きな自然災害を経験した自治体は独自の支援策を上乗せして生活再建を行っている現状である。
 この間、安倍首相は憲法9条に自衛隊を明記するなどの改憲を自らの手で実現すると明言し、いま緊張が高まる中東へ、国民的な議論もないまま「調査・研究」の名目で、戦争法成立後、初めての自衛隊派遣を強行しようとしている。日本が海外で、いつでもどこでも戦争できる国にしようとする地ならしと言わねばならない。
 いま日本がやるべきことは、「戦争できる国づくり」ではなく、海外にも緊急展開できる大規模で、総合的な消防・救助能力を持つ非軍事の「災害救助隊」の創設だ。
 新社会党は今後も被災者の立場に立った震災復興の検証を市民とともに進め、脱原発社会の実現、くらしや生活の再生をめざし、多くの皆さんと手を携えて全力で奮闘する決意である。
  2020年1月17日 新社会党兵庫県本部