ひょうごミュージアム

ひょうご描き歩き 118 

平荘湖
(加古川市平荘町)

2021/06/08
 国道2号線の加古川橋から右岸を少し北上した先に小高い山に囲まれて平荘湖がある。この人造湖は北の最高峰216mの飯盛山、西の黒岩山、南の升田山と低い山並みを利用して、50年余り前に東播磨工業地帯の工業用水の安定供給を目的に建設されたダム湖。
 ダム工事で水没する前、ここは加古川下流域最大の古墳群の地で、古墳時代後期の古墳100基超があった。その約半数は湖底に沈み、高い位置にあったものだけが湖畔や周辺の山に残っている。西岸にある升田山15号墳は石室の高さが3m近い大きなもの。升田山の山中にも10基ほどあるが、山道はさほど整備されていないので辿るのに難儀するし、墳丘が消失してしまっているものも多く見つけにくい。湖岸の青少年館の前の水辺に石積みの古墳が1基移されて在る。渇水期には水没して湖底にある石室が姿を見せることもある。
 1周5キロの湖岸道はジョギングやウォーキングに好適で、近在の人々の憩いの場となっている。ここは渡り鳥の越冬地でもあり、カモやガンなどが飛来してくるシーズンになると、湖岸に望遠カメラを構え、一瞬の姿を撮ろうとするマニアの姿が多くなる。(嶋谷)