新社会兵庫ナウ

水脈(2021年5月25日号)

2021/05/25
 近畿も16日、平年よりも21日早く梅雨入りした。どうやら今年の梅雨は長くなりそうだ、と思うともう気分は鬱陶しくなる▼一方、3度目の緊急事態宣言は予想通りに延長。窮屈で不自由なガマンの生活がまだまだ続くのかと思うと鬱陶しさは倍加する。さらに、今からのワクチン接種の予約をめぐる混乱や困難のことを考えると鬱陶しさはさらにプラスする▼これだけで読者諸氏を重い気分にさせているようで心苦しいが、そこにかぶさって鬱陶しさを増幅させているのが、菅首相のコロナ禍をめぐる、なんの説得力もない発言の数々である。緊急事態宣言の発令と延長のたびに開かれる記者会見での彼の言葉にどれだけの国民が納得しているだろうか。見通しの甘さや判断の誤りへの反省もないままに、根拠も明らかにできない対処方針を一方的に語り、お願いだけをしてみても国民の心には響かないだろう▼透けて見えるのは、「安心・安全の東京五輪」としか言えない五輪開催への賭けのようなものだ。「安」の字は、「安らか」ではなく、「安っぽい」政治判断に見えてくる▼「安っぽい心」は、「ピンチをチャンスに」と、このコロナ禍を火事場泥棒的に改憲論議の促進に利用しようとする発想に通じている。