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ひょうごのまちを訪ねて 高砂市
住民交流施設 よってこ村・荒井

2021/05/25
「よってこ村・荒井」の「総務大臣」を務める元高砂市議の宮本幸弘さん。活動の中で各種の資格を取得して運営に貢献
様々な利用目的に応えている建物の前にはきれいな芝生広場も広がる「よってこ村・荒井」


「よってこ村・荒井」は、高砂市荒井地域(約4,650世帯、11,000人が居住する小学校区)を対象とする住民交流施設。山陽電鉄荒井駅を降りてすぐのところに立地し、約760坪の芝生広場と2階建て建物を敷地にもつ。今はコロナ禍のためにほとんどの活動を自粛しているが、今年で「開村」13年目となる。立ち上げから運営に関わり、同村「総務大臣」を務める宮本幸弘さん(元高砂市議会議員)にお話を聞いた。
 
 家にこもりがちな高齢者、遊び場のない子どもたち、無縁状態ともいえる住民、社会構造が激変した今、多くの人が横のつながりを求めているのではないか―。立ち上げの経緯は、そんな問題意識を持った当時市議会議員の宮本さんが、居場所づくりを仲間に呼びかけたことがきっかけ。当時の町内会長ら地元有志11人が呼びかけに加わり、立ち上げが決定した。
 幸いにも、地元企業が福利厚生施設を無償で貸してくれることになり、場所にも恵まれた。運営スタッフを探すために、宮本さんらは走り回り、地元の各種団体、NPO、趣味のサークルなど片っ端から声かけをした。結果、交流や仲間づくりの意義を理解しボランティアで協力してくれる専門家が多く集まった。「時間はたっぷり、知恵も十分、お金もチョッピリ」ある現役を引退した地域の人材も豊富だ。
 「よってこ村」の日常活動は、運営スタッフの所属団体などが主催する定期教室(英語、パソコン、親子教室、ヨガなど)、よろず相談(福祉、介護、行政相談など)、娯楽部屋(囲碁・将棋、図書室、テレビ)の一般開放、貸会議室業務(小中会議室と100人規模のホール)、広場の貸出し業務(グラウンドゴルフや運動塾)など盛りだくさん。また、バーベキュー施設もあり、年間行事では、まつりやイベント、児童向け農業体験なども頻繁に行われる。コロナ前なら、「よってこ村」に出入りする人は、年間で延べ7〜8,000人以上に上る。
 建物や設備の維持費は、年間で高級車1台分ほどの額になるという。しかし、そこは想定内。露天、飲食、製菓などの営業許可や管理栄養士など各種資格を取得し、出前イベントなどに参加して焼きそばやわらび餅を売ったり、「よってこ村」施設内で地域の忘年会や地元企業の飲み会を請け負うなどして、維持費を賄っている。
 相談などで訪れた人が、その後に協力してくれる立場になり、引き継ぎも少しずつ進む。宮本さんの仕事は事務局がメインだが、自身もよろず相談でアスベスト健康被害の相談を受け、来村者と会話を交わしたりなど、動き回っている。
 「よってこ村は『遊び』を通した人間関係づくりの場。そこから私の活動のことを知って党のことも理解してくれ、機関紙の読者や党友もできる。いま、ここで活動していることが何より楽しいよ」と語ってくれた。(岡崎彩子)