新社会兵庫ナウ

私の主張(2021年3月23日号)

2021/03/23
コロナ禍でも声を上げよう! 私たちにも生活がある

 コロナ禍は労働者を直撃
 長引くコロナ禍のなか、緊急事態宣言や営業の時短・自粛要請により、生活関連サービス業を筆頭に、宿泊・飲食サービス業、陸運業、娯楽業の売り上げの落ち込みが激しくなっている。それは、そのまま非正規労働者の就労割合の高い業種であり、非正規労働者の生活を直撃した。コロナによって勤務シフトが半分以下になり、休業手当も受け取っていない「実質的失業者」のパート・アルバイトが146万人を上っており(野村総合研究所調査)、その数は失業者(197万人)や休業者(244万人)に迫る規模である。休業手当も、政府が賃金の8割を補償する休業支援金の制度も、実質的失業者の約半数が知らないという実情がある。そして、その実質的失業者のうち103万人が女性だ。第2波(昨年7月〜9月)以降、女性の自殺者が急増した背景にはこうした貧困問題がある。
 また、正社員もコロナによってこれまで見えなくなっていた問題が浮き彫りになった。分社化によって基本給が大きく下げられてきたバスの労働者は、コロナで残業が大幅に減り、年間で100万円近い収入減となった。分社化で減った賃金を残業でまかなっていた。
 
 労働者の団結と連帯を取り戻そう
 一方、大企業は2019年から内部留保を新たに10兆円も積み増し、その額は459兆円にも膨れ上がっている。これまで「非常事態への備え」と言ってきた大企業、それを受け入れてきた労働組合。コロナ禍という非常事態にこそ吐き出すべきであるが、労働組合は沈黙したままだ。かつて春闘は、「暗い夜道を一人で歩くのは不安だ。だから、みんなでお手手つないで進めば、安心」として取り組まれた。労働組合が国民の先頭に立ち、声を上げる時だ。そして、腐敗政治や大企業の横暴に対峙し、「安売り競争はさせない」という労働者の団結と連帯が求められている時だ。
 また、全日本建設運輸連帯労組関西生コン支部にかけられている刑事弾圧は、たんに関生支部だけの問題ではない。国労に続く闘う労働組合に対する国家による組合つぶしである。労働者のよりどころである憲法第28条の破壊行為である。関生支部への刑事弾圧を自分たちの問題として捉え、勝利に向けて支援をしていかなければならない。
 
 労働者はもっと怒ろう!
 8時間労働制も、労働法も、「労働力」という特殊な商品を守るために築き上げられた労働者の闘いの結晶だ。この労働者の闘いの結晶は、たんに個々の労働者の権利ではなく、これから社会に出て行く人たちも含めたすべての労働者の権利なのだ。その労働者の闘いの結晶が、企業の儲けを拡大するために目の敵にされてきたし、いままさに破壊されようとしている。
 資本は手練手管を駆使して労働者を分断・対立させてきた。それがいまの待遇格差を生み出している。そうした中で、長年、郵政や東京メトロなどで働いてきた非正規労働者が、均等待遇を求める闘いに立ち上がった。結果は悔しいものもあったが、いまの労働運動の到達点である。この闘いがあったからこそ、今年4月からすべての職場で同一労働同一賃金が実施される。労働者は闘い続けるしか権利を守り、広げることはできない。
 
 世の中を変えるのは労働者の力
 兵庫では、労働戦線の統一後も地区労を中心とした地域共闘運動が存続し、1990年以降も闘う労働組合を支援する形が維持されてきた。そして、いまもこの財産を糧に、各地・各組合の闘いをみんなで寄ってたかって支えている。
 世界では、労働者は不当な扱われ様に対して団結・連帯し、ストライキで闘っている。世界中で若者を中心に新自由主義に対する批判のうねりが巻き起こっている。ミャンマーでは、軍事クーデターに対して国民がまさに命を懸けて民主主義を取り戻そうとストライキで闘っている。
 閉塞感に満ち満ちたこの社会を変えるのは、私たち自身だ。私たち労働者が、生活や職場の中で浮き彫りになっている具体的な課題を社会に訴え行動に移す時、社会は大きく動き出す。いますぐ立ち上がることができなくても、できることから始めよう。つながることならいますぐできる。職場を越え、地域でつながれば、身の守り方を知り、反撃の仕方を覚える。各地のつながりがさらに大きなネットワークへと広がったとき、世の中は変わる。
 塚原久雄(労働組合武庫川ユニオン書記長)