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私の主張(2021年3月9日号)
2021/03/09
神戸市水道局
職員100人の削減を提案
市民との接点を民間委託に
2018年12月、水道法が「改正」され、水道事業の民営化に法的根拠が与えられた。根本には、人口減少・節水器具の普及による給水収益の減少と、それに反比例して更新すべき施設の増加という水道事業が抱える問題がある。
コロナ禍の影響で給水収益がさらに減少
神戸市では、コロナ禍の影響で水道使用量は一般家庭用で少し増える傾向だが、業務用は激減している。そうした中、2020年10月24日、水道局長名で「水道局職員の皆様に 水道事業緊急経営改革―ピンチをチャンスに」と題する通知文が全職員に配付された。
示された内容は、①給水収益がコロナ禍の影響で、上半期マイナス5・4%、8億円減収(1年では約15億円の減収)、②今年策定した「中期経営計画2023」に掲げた「できるだけ長く現行料金水準を維持」することを責務としている、③そのため、「中期経営計画2023」を前倒し、それ以上の改革を進める、④具体的には、民間委託化によって100名の職員削減を行い、お客さま関連業務を委託(停水執行・検針再調査等、それらの電話連絡先も民間事業者に変更)し、残す職員は1か所に集約(2021年10月、大倉山の現中部センターへ)、本庁組織再編(2022年4月、4号館を出て大倉山の現中部センターへ)―というものである。
40歳代の職員は「モチベーションのガタ落ち」「自分は異動要員。どこに行かされるのか不安だ」と言い、多くの職員が「これは管理運営事項じゃない。労働条件に大きく関わる。決定事項みたいな通知はひどい」等の思いを述べる。組合の本部・支部にも協議は無く、職場の管理職も詳細を知らない状況だ。
これまでは人員削減についても組合と協議し、業務内容も職場と相談して見直しを行ってきたが、今回は業務内容も含め一方的に全てを民間委託し、事務部門の民営化を断行しようというものである。ヤミ専従問題以降、労働組合を敵視・無視して市政を進めている久元市政にイエスマンの水道当局が、経営責任・説明責任を放棄し、最も安易な職員削減・民間委託の拡大で、市民サービスを切り捨てるものだと言わねばならない。
民間委託による市民への対応
水道局は、「民間委託事業者もスキルが高くなっており、市民サービスを維持することは出来る」と説明するつもりのようであるが、職員からはため息が聞こえてくる。
懸念される事態として、例えば以下のようなことがある。
①以前、水道局が人員削減のため、宅地内修繕・漏水調査から手を引いた時に『水道修繕受付センター』を水道設備業者で立ち上げたが、漏水があって困った時に電話しても「忙しくて暫くは行けない」「調べたけれど見つからないが、調査費用は支払っていただく」という市民への対応が見受けられる。職員ならそのような事態に対しては、漏水箇所に応じた業者を紹介する。この修繕力の弱さが、多くの神戸市民が悪徳業者から被害を受ける隙を作る一因になっている。②一人暮らしの高齢者宅での異常水量が増えている。原因は「漏水音に気が付かなかった」「出したまま忘れていた」等で、これからもこうした事は増えていくだろう。今は、職員が各区のあんしんすこやかセンターと協力しながら見守りを強化しているが、民間業者にとって同じことをする必要があるとは思えない。③水道の無届使用の調査が増えている。外国人の急増、解体助成制度に伴う工事の増加によるものだ。水道は市民の財産である。料金を徴収するために市民や管理会社の協力も得ながら調査をする。状況に応じて臨機応変な調査が民間業者で出来るはずがない。
「いのちの水」は誰のもの
2月13日にも福島・宮城県で震度6強の地震が起きた。いつ、どんな災害が起こるかわからない中、水道が「いのちの水」であることを水道局は忘れてしまったのではないだろうか。危機管理室や消防局、水道局が入っている市役所4号館は災害時の心臓部だ。しかし、水道局は財政悪化を理由に4号館を出て大倉山に移転しようとしており、26年前の経験は地に落ちている。
今、まさに将来の水道事業の在り方を真剣に検討すべき時期に来ている。人口減少が進む中、給水収益の増加は考えられない。
その中での新たな方策として、水道に消費税をかけない、独立採算制を見直すなどの検討をすべきである。このままでは、民間委託の拡大、民営化の選択肢しか残らなくなってしまう。
今年は神戸市長選挙の年、市民生活最優先の神戸市に変えていく機会にしよう。
松岡信明(神戸市水道局職員)
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職員100人の削減を提案
市民との接点を民間委託に
2018年12月、水道法が「改正」され、水道事業の民営化に法的根拠が与えられた。根本には、人口減少・節水器具の普及による給水収益の減少と、それに反比例して更新すべき施設の増加という水道事業が抱える問題がある。
コロナ禍の影響で給水収益がさらに減少
神戸市では、コロナ禍の影響で水道使用量は一般家庭用で少し増える傾向だが、業務用は激減している。そうした中、2020年10月24日、水道局長名で「水道局職員の皆様に 水道事業緊急経営改革―ピンチをチャンスに」と題する通知文が全職員に配付された。
示された内容は、①給水収益がコロナ禍の影響で、上半期マイナス5・4%、8億円減収(1年では約15億円の減収)、②今年策定した「中期経営計画2023」に掲げた「できるだけ長く現行料金水準を維持」することを責務としている、③そのため、「中期経営計画2023」を前倒し、それ以上の改革を進める、④具体的には、民間委託化によって100名の職員削減を行い、お客さま関連業務を委託(停水執行・検針再調査等、それらの電話連絡先も民間事業者に変更)し、残す職員は1か所に集約(2021年10月、大倉山の現中部センターへ)、本庁組織再編(2022年4月、4号館を出て大倉山の現中部センターへ)―というものである。
40歳代の職員は「モチベーションのガタ落ち」「自分は異動要員。どこに行かされるのか不安だ」と言い、多くの職員が「これは管理運営事項じゃない。労働条件に大きく関わる。決定事項みたいな通知はひどい」等の思いを述べる。組合の本部・支部にも協議は無く、職場の管理職も詳細を知らない状況だ。
これまでは人員削減についても組合と協議し、業務内容も職場と相談して見直しを行ってきたが、今回は業務内容も含め一方的に全てを民間委託し、事務部門の民営化を断行しようというものである。ヤミ専従問題以降、労働組合を敵視・無視して市政を進めている久元市政にイエスマンの水道当局が、経営責任・説明責任を放棄し、最も安易な職員削減・民間委託の拡大で、市民サービスを切り捨てるものだと言わねばならない。
民間委託による市民への対応
水道局は、「民間委託事業者もスキルが高くなっており、市民サービスを維持することは出来る」と説明するつもりのようであるが、職員からはため息が聞こえてくる。
懸念される事態として、例えば以下のようなことがある。
①以前、水道局が人員削減のため、宅地内修繕・漏水調査から手を引いた時に『水道修繕受付センター』を水道設備業者で立ち上げたが、漏水があって困った時に電話しても「忙しくて暫くは行けない」「調べたけれど見つからないが、調査費用は支払っていただく」という市民への対応が見受けられる。職員ならそのような事態に対しては、漏水箇所に応じた業者を紹介する。この修繕力の弱さが、多くの神戸市民が悪徳業者から被害を受ける隙を作る一因になっている。②一人暮らしの高齢者宅での異常水量が増えている。原因は「漏水音に気が付かなかった」「出したまま忘れていた」等で、これからもこうした事は増えていくだろう。今は、職員が各区のあんしんすこやかセンターと協力しながら見守りを強化しているが、民間業者にとって同じことをする必要があるとは思えない。③水道の無届使用の調査が増えている。外国人の急増、解体助成制度に伴う工事の増加によるものだ。水道は市民の財産である。料金を徴収するために市民や管理会社の協力も得ながら調査をする。状況に応じて臨機応変な調査が民間業者で出来るはずがない。
「いのちの水」は誰のもの
2月13日にも福島・宮城県で震度6強の地震が起きた。いつ、どんな災害が起こるかわからない中、水道が「いのちの水」であることを水道局は忘れてしまったのではないだろうか。危機管理室や消防局、水道局が入っている市役所4号館は災害時の心臓部だ。しかし、水道局は財政悪化を理由に4号館を出て大倉山に移転しようとしており、26年前の経験は地に落ちている。
今、まさに将来の水道事業の在り方を真剣に検討すべき時期に来ている。人口減少が進む中、給水収益の増加は考えられない。
その中での新たな方策として、水道に消費税をかけない、独立採算制を見直すなどの検討をすべきである。このままでは、民間委託の拡大、民営化の選択肢しか残らなくなってしまう。
今年は神戸市長選挙の年、市民生活最優先の神戸市に変えていく機会にしよう。
松岡信明(神戸市水道局職員)