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芦屋市学童保育民営化問題
子どもたちはどうなる? 学童保育は公的責任で

2019/11/30

一方的な決定へ市民らが反撃
問答無用の表明と提案
 芦屋市教育委員会は昨年7月、市内8校で運営する学童保育事業のうち4校を、2019年4月から民間委託すると表明し、保護者や指導員ら関係団体との十分な協議も行わないまま9月議会に議案を提出した。
 国会での出入国管理法の改正問題と同じく、多くの課題が山積し、運営面の懸念が払拭されないまま、議会は見切り発車的に関係条例を可決してしまった。その際、保守系無所属の議員からも「民主主義の形骸化」との発言があった
 市が委託にする理由としてあげているのは、①待機児童の解消、②人員不足、③担当業務の煩雑化、④コスト面などだが、どれも公設・公営で対応できるものだ。
劇で問題点を可視化
 当該労組の団体交渉や、市内の10労組で構成される芦屋地労協からの抗議の申入れなどが行われる一方で、11月30日夜に芦屋市民センターで、阪神間の、女性を中心とする非正規雇用労働者が主体の「阪神パート集会」が開かれ、複数の保護者も含め約100人が参加した。集会は夜9時過ぎまで続き、民間委託問題についての認識を深めた。
 当該の芦屋指導員労組から経過の説明後、上原康夫弁護士が、学童保育は業務委託になじまないことを法的な視点から解説。その後、自治労臨職評の仲間による劇(「民間委託になったら子どもたちはどうなるの?」)も“上演”された。子どもが急病になって保護者と連絡が取れない場合、不審者情報が出た時、災害が発生した場合など、想定される日常の中から、民間委託の場合に学級や学校の先生との間で起こり得る実際の具体例が可視化される劇となった。
 質疑では、教師や保護者からも不安の声があがり、問題点を市民に訴えていこうという発言もあった。さらに保護者からは「学童保育の民間委託の賛否に関する住民投票条例の制定を求める直接請求の署名を年末年始にかけて取り組む」という報告もなされ、その取り組みは始まっている。
 猪名川町の学童保育指導員からは、民間委託から直営に戻した経験を踏まえての報告がなされ、「学童保育は委託になじまない」ことが全体で確認された集会となった。  今回の民営化の問題は、根本的には市が当事者である保護者、指導員、そして子どもたちのことを考えて委託運営を選択したのでなく、公的責任を安易に放棄したことが問われている。
(大野)
写真:民営化反対集会には学童保育関係者、市民ら100人が参加し夜遅くまで熱心に討論した=2018年11月30日、芦屋市民センター