新社会兵庫ナウ

水脈

2021/02/23
 各種の世論調査でも7〜8割が開催に否定的ななか、「危機」に止めを刺すかような激震が東京五輪を襲った。東京五輪・パラ組織委員会会長のとんでもない女性蔑視発言がその発端であり、その後の辞任表明や後任選びをめぐる混乱と迷走のドタバタ劇の醜態で恥の上塗りを重ねて、日本の恥部ともいうべき内情を世界にさらした▼振り返れば、トラブル続きの東京五輪である。招致をめぐる贈賄疑惑は消えていない。メイン会場の新国立競技場建設計画のやり直し、盗作が疑われた公式エンブレムのつくり直し。各種競技の会場変更問題。そして、全く予想にはなかったコロナのパンデミックによる開催延期……。開催経費も当初予算の何倍にも膨れ上がってしまった。そこにさらにみそをつけたのが今回の女性蔑視発言をめぐる一連の騒動だ▼ただ、さらけ出された問題は五輪の領域にとどまらず、まさに世界ジェンダーギャップ指数ランキング121位の国の内実であり、これを容認・放置してきた旧来の保守的な社会意識・社会状況の根深さではないか▼その意味で、日本社会への重大な問題提起だと受け止め、多様性やジェンダー平等にそれぞれが改めて向き合い、自ら問い直すことに繋げたい。