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コロナ対策  医療・看護現場への優先的な支援を

2020/01/26
医療現場からの発信
患者数だけでは見えてこない厳しい医療の実態

 
 前回の報告の掲載は昨年の5月26日号。2021年年頭、この7カ月余で医療現場の状況はどう変わったのかを報告したい。
 まず、比べようもなく重症者も軽症者も増加した。重症患者に対応するユニットはほぼ100人の看護師が必要で、一般病棟や救急病床、循環器や脳卒中急性期に対応のベッドを減らすことで看護師をねん出する。私の勤務する脳卒中の急性期病棟でも、夜勤体制が3人から2人となった。2人夜勤になると、休憩中は1人になる。私は経験年数は長いため1年目の看護師との勤務もあり、残される1年目の看護師の不安を思うと重たい気持ちになる。しかし私にも休憩時間が必要で、PHSを持っての休憩になる。閉鎖した一般病棟に入院していた患者は他病棟に分散して治療を継続するわけだが、他病棟の検査や手術は増え、負担が増大する。他府県で、コロナ対応部署に配属された助産師が「この状態が続けば助産師としての経験が積めなくなってしまう」と退職すると聞いた。コロナ対応は全体の負担や医療スタッフのやりがいにも影響し、離職の原因にもなっている。
 重症病棟スタッフの、感染予防のマスクやガウンで患者のケアをする負担は非常にしんどい。暑い中で2時間も業務を続けると、今自分が感染予防の手順を正しく行えているかすら分からなくなってしまうという。私は直接体験してないが、一般病棟でさえガウンで働くだけでも暑くて苦しい。新型コロナ患者対応は系列の他病院でも対応しており、精神科専門の病院などでは、患者の精神的安定を図ることが難しいと報告されている。
 今、病院が最も恐れているのは職員の感染だ。私もPCR検査を受けなければいけない状況を経験した。結果は陰性だったが、陽性でも不思議ではないと思った。今後の患者数の動向は予測できないが、患者数だけでは見えてこない実態があることを知ってほしい。現場を知る労働者として発信する必要性も感じている。
(「感染症指定医療機関」指定の公立病院 看護師A)