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私の主張(2021年1月19日 合併号)
2021/01/24
【2021年・年頭に思う】
3つの課題に全力をあげる
ひょうごユニオン委員長 岡崎 進
昨年来のコロナ禍で浮き彫りになったことは、余裕のない国民生活、非正規雇用と貧困の構造、脆弱な医療や社会保障など、日本社会が抱えてきた問題だ。これらは「政治の劣化」を物語るものだが、それを許してきた労働者、国民の責任もまた問われている。
このような中で、私たちひょうごユニオンは雇用労働ホットラインをはじめ、全国最低賃金引き上げ、不当解雇の争議・裁判闘争、労働組合つぶしを許さない集会などに全力をあげてきた。
当面するユニオンの課題の1つは、地域に根を張ったユニオンの拡大である。今や働く者の4割が非正規雇用、これらの人々を置き去りにして労働組合の未来はない。今回のコロナ禍では非正規労働者やフリーランスが雇用の調整弁として真っ先に切られた。だが、長期化するコロナ禍の下で企業は生き残りをかけて、正社員のリストラや賃金切り下げを断行しており、安穏としておれない。
このままだと、「一握りの富裕層」と「圧倒的多数の貧困層」の二極化はさらに加速化するだろう。これを許さない闘いが求められている。
2つは、労働組合つぶしを許さない取り組みだ。たくさんの労働者がコロナ苦境にあえいでいる。だが残念ながら、その防波堤となるべき労働組合の姿が見えない。さらに、過去20年以上も実質賃金が下がり続け、それでもストライキが皆無という国は日本だけである。
1人では弱い労働者が、経営者と渡りあえる方法は、憲法28条が明記するように労働組合をつくり、団体交渉を行い、ストライキを構えることで、はじめて労使対等となる。また、労働組合法(第1条)には、労働組合活動に警察権力が介入できないように「刑事免責」の適用を定めている。
ところが、そのストライキをめぐり、警察権力は全日建連帯労組関西生コン支部に対し、延べ89人の組合員の逮捕や600日を超える委員長、副委員長の拘留などの弾圧を加えている。10月8日には大阪地裁で有罪判決も出された。
これはけっして「対岸の火事」ではなく、すべての労働組合に対する恫喝でもある。私たちは昨年10月末、「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」を発足させた。ここを起点に団結権・団体行動権・結社の自由を守る闘いを広げていく所存である。
最後は、この生きづらい社会を変えるたたかいである。安倍前首相は「桜」疑惑をめぐり国権の最高機関の場で、国民を愚弄するウソを118回も連発し、この期に及んですべての責任を秘書に押し付ける醜態をさらしている。そして菅政権はこれを擁護する無責任ぶりを発揮している。しかし、自民党政権の勢いは明らかに失速している。
その意味で、今年9月までには実施される衆議院解散・総選挙は、腐敗まみれの自民党政治を変える絶好の好機である。あきらめず、声を上げ、行動を起こしていこう。
とにかくマスク着用徹底を
医師(ろっこう医療生協) 小西 達也
コロナ感染症がこれほど社会にダメージを与えることになるとは当初、予想できなかった。高齢者や糖尿病等、基礎疾患のある人々には重症化・死亡リスクが高いことはすぐにわかった。このような中、スウェーデンは、「高齢者等は自己隔離を」「青壮年層に自粛は求めない、マスク使用も求めない」という独自路線を歩み、成功すれば良いモデルになると期待した。しかし、周辺国の数倍の死者を出し、感染者数も、重症者数も抑制できないという惨憺たる結果となった。マスクの使用を呼びかけなかったことが、失敗の最大の原因である。
感染しても若年者は無症状・軽症で、それでも感染力はあり、弱毒ウイルスなので終生免疫はできず、何度も罹患して、徐々に中高年へと感染を拡大させた。そこへ「GoToイート」という信じられない政策が実施され、繁華街から郊外へ、都市部から地方へ、家庭内感染へ、施設・病院のクラスター発生へと感染者を増加させ、各地で医療崩壊をひき起こしている。
新型コロナ感染はたんなる飛沫感染ではなく、会話飛沫感染・エアロゾル感染であり、屋内での30分以上のマスクなしでの会話で感染することは5月頃には明らかであった。一時はテイクアウトを呼び掛けるほどだったのに、マスク着用徹底の呼びかけもなしに、飲食店利用を促進するとは政府の意思決定レベルがあまりにも低すぎる。
◇
コロナワクチンは有効率95%というデータであるが、副反応の有無はこれからである。さらに、良いワクチンが完成しても、変異や接種率も課題であり、飲食店でのマスク着用徹底を義務づけるマスク法を考えないと感染状況の安定したコントロールは困難だろう。
◇
労働安全衛生の分野では、アスベスト労災、パワーハラスメント対策、それにコロナ関連労災が焦点であるが、集まることに制約があり、十分な取り組みができたとは言いがたい状況である。
震災アスベストの被災者である明石の島谷さんの公務災害認定の闘いも裁判の日程に遅れが生じているが、今春には判決が出る。当たり前の判決が出ることを期待している。 (ひょうご労働安全衛生センター理事長)
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【2021年・年頭に思う】
3つの課題に全力をあげる
昨年来のコロナ禍で浮き彫りになったことは、余裕のない国民生活、非正規雇用と貧困の構造、脆弱な医療や社会保障など、日本社会が抱えてきた問題だ。これらは「政治の劣化」を物語るものだが、それを許してきた労働者、国民の責任もまた問われている。
このような中で、私たちひょうごユニオンは雇用労働ホットラインをはじめ、全国最低賃金引き上げ、不当解雇の争議・裁判闘争、労働組合つぶしを許さない集会などに全力をあげてきた。
当面するユニオンの課題の1つは、地域に根を張ったユニオンの拡大である。今や働く者の4割が非正規雇用、これらの人々を置き去りにして労働組合の未来はない。今回のコロナ禍では非正規労働者やフリーランスが雇用の調整弁として真っ先に切られた。だが、長期化するコロナ禍の下で企業は生き残りをかけて、正社員のリストラや賃金切り下げを断行しており、安穏としておれない。
このままだと、「一握りの富裕層」と「圧倒的多数の貧困層」の二極化はさらに加速化するだろう。これを許さない闘いが求められている。
2つは、労働組合つぶしを許さない取り組みだ。たくさんの労働者がコロナ苦境にあえいでいる。だが残念ながら、その防波堤となるべき労働組合の姿が見えない。さらに、過去20年以上も実質賃金が下がり続け、それでもストライキが皆無という国は日本だけである。
1人では弱い労働者が、経営者と渡りあえる方法は、憲法28条が明記するように労働組合をつくり、団体交渉を行い、ストライキを構えることで、はじめて労使対等となる。また、労働組合法(第1条)には、労働組合活動に警察権力が介入できないように「刑事免責」の適用を定めている。
ところが、そのストライキをめぐり、警察権力は全日建連帯労組関西生コン支部に対し、延べ89人の組合員の逮捕や600日を超える委員長、副委員長の拘留などの弾圧を加えている。10月8日には大阪地裁で有罪判決も出された。
これはけっして「対岸の火事」ではなく、すべての労働組合に対する恫喝でもある。私たちは昨年10月末、「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」を発足させた。ここを起点に団結権・団体行動権・結社の自由を守る闘いを広げていく所存である。
最後は、この生きづらい社会を変えるたたかいである。安倍前首相は「桜」疑惑をめぐり国権の最高機関の場で、国民を愚弄するウソを118回も連発し、この期に及んですべての責任を秘書に押し付ける醜態をさらしている。そして菅政権はこれを擁護する無責任ぶりを発揮している。しかし、自民党政権の勢いは明らかに失速している。
その意味で、今年9月までには実施される衆議院解散・総選挙は、腐敗まみれの自民党政治を変える絶好の好機である。あきらめず、声を上げ、行動を起こしていこう。
コロナ感染症がこれほど社会にダメージを与えることになるとは当初、予想できなかった。高齢者や糖尿病等、基礎疾患のある人々には重症化・死亡リスクが高いことはすぐにわかった。このような中、スウェーデンは、「高齢者等は自己隔離を」「青壮年層に自粛は求めない、マスク使用も求めない」という独自路線を歩み、成功すれば良いモデルになると期待した。しかし、周辺国の数倍の死者を出し、感染者数も、重症者数も抑制できないという惨憺たる結果となった。マスクの使用を呼びかけなかったことが、失敗の最大の原因である。
感染しても若年者は無症状・軽症で、それでも感染力はあり、弱毒ウイルスなので終生免疫はできず、何度も罹患して、徐々に中高年へと感染を拡大させた。そこへ「GoToイート」という信じられない政策が実施され、繁華街から郊外へ、都市部から地方へ、家庭内感染へ、施設・病院のクラスター発生へと感染者を増加させ、各地で医療崩壊をひき起こしている。
新型コロナ感染はたんなる飛沫感染ではなく、会話飛沫感染・エアロゾル感染であり、屋内での30分以上のマスクなしでの会話で感染することは5月頃には明らかであった。一時はテイクアウトを呼び掛けるほどだったのに、マスク着用徹底の呼びかけもなしに、飲食店利用を促進するとは政府の意思決定レベルがあまりにも低すぎる。
◇
コロナワクチンは有効率95%というデータであるが、副反応の有無はこれからである。さらに、良いワクチンが完成しても、変異や接種率も課題であり、飲食店でのマスク着用徹底を義務づけるマスク法を考えないと感染状況の安定したコントロールは困難だろう。
◇
労働安全衛生の分野では、アスベスト労災、パワーハラスメント対策、それにコロナ関連労災が焦点であるが、集まることに制約があり、十分な取り組みができたとは言いがたい状況である。
震災アスベストの被災者である明石の島谷さんの公務災害認定の闘いも裁判の日程に遅れが生じているが、今春には判決が出る。当たり前の判決が出ることを期待している。 (ひょうご労働安全衛生センター理事長)