ひょうごミュージアム

ひょうご碑物語『東播用水完成記念碑(稲美町野寺)』

2020/12/29
 淡山(たんざん)疎水は、淡河(おうご)川疎水と山田川疎水の総称で、神戸市北区から加古郡稲美町に至る総延長26・3㎞に及ぶ疎水である。
 播磨地方は雨が少なく、ため池を作っても米作には水が不足しがちだった。しかし、東播磨の印南野台地では米作を行うことになったため、新たな用水が必要となり、1888年(明治21年)に淡河川で工事に着工。3年4ヵ月を費やして1891年4月に完成した。この工事の完成をみて、難工事が予想されて見送りとなっていた山田川疎水の工事も1892年から着手され、1915年(大正4年)に完成する。
 神戸市北区から印南野台地に至る疎水は、トンネル28ヵ所や谷をサイフォン方式で越える「御坂サイフォン」などの工法が採られ、2006年には「疎水百選」に、2014年には「世界かんがい施設遺産」に選ばれている。
 現在は、1970年に着工し1992年に完成した東播用水事業でダムや水路を整備し、印南野台地をさらに潤わせている。
 碑は、その東播用水事業の完成を記念して作られた「淡山疎水・東播用水博物館」の玄関に設置されている。(森山)

【メモ】淡山疎水・東播用水博物館へは車で第2神明道路・明石西ICから北東へ約10分。