新社会兵庫ナウ

若者のひろば(2020年12月22日号)

2020/12/29
韓国ドラマが面白いわけ 
 コロナ禍で家で過ごす時間が増え、超人気韓国ドラマ「愛の不時着」を独占配信していることでも有名なNetflix(定額制動画配信サービス)を契約したのだが、見事にはまっている。「不時着ロス」を埋めようと、見てみる韓国ドラマがことごとく面白い。なぜそれほどに魅せられているのか、自分なりに分析してみた(アイドルとかランキングの要素でドラマを見ていないので、かなり主観的な感想です)。
 まず、脚本が面白い。サスペンススリラー、群像、コメディ、恋愛と様々あるが、エンターテインメント性に加え、どんなドラマにも今の社会情勢が反映されている。筋書きは明らかにフィクションでも、実感は現実そのものだ。特に、これまでは決して描かれなかったであろう「権力の腐敗」が至る所で出てくる。大財閥のスキャンダル。公務員の癒着や内通。社会や市民のためではなく権力者のために、犯罪事件を意のままに操り、自らの権力も増幅させていく検察。政治サスペンスドラマ「サバイバー:60日間の大統領」(国会議事堂で爆破テロ事件が発生し、期せずして大統領権限代行を務めることになった環境省長官と、真相究明や機能正常化に向けて奔走する人々を描く)では、テロ発生直後から、韓国軍司令部に我が物顔で命令しに来る米軍や、意味深な態度をちらつかせる北朝鮮の存在なども同時に描かれて、国内の諸勢力の思惑も絡みあい、スリリングさが半端じゃなかった。
 一方、物語の根底に、いつも人間愛を感じられる所も大きな魅力だ。一般市民もただ権力に翻弄されるだけではない。権力と対比させるように、本当に慎ましやかな暮らしを懸命に生きる姿がしっかりと描かれる(俳優さんたちの演技がいつもリアル)。先に述べた「サバイバー」では、理想の大統領候補者を見つけた元官僚たちが一般市民に交じって市民運動を起こしながら応援する。ちゃんと地べたから正義が描かれていると、ホッとする。
 最も私が気に入っている点は、女性の描かれ方だ。以前はどうだったかは知らない。だが、現代の韓ドラは、働き盛りの女性が主役・脇役を問わず、結構重要な役割で複数登場する。普通の自立した一人の人間として描かれる。
 これが、日本のドラマだと、特別抜きんでた才能や能力があるとか、主役でも恋愛の要素がついて回るとか、誰かの妻とか、条件付きなのだ。「女性活躍推進」を謳った後の日本でも、今年大ヒットした某ドラマは、相変わらずの男の世界だった。出てくる女性は、完璧な夕食を用意して夫の帰りを待つ美しい妻という、添え物だった。現実でも深いため息が出る日々なのに、なぜ娯楽であるはずのドラマで、あえて旧態依然とした世界を見たいだろうか?私は、絶対に見ない。
 ということで、今日も私は母といそいそとNetflixの韓国ドラマを見ている。チャンネルをつけようとすると、なぜか父はリビングから自室に移動していきます。そんな日々です。
(岡崎彩子)