ひょうごミュージアム

ひょうご碑物語『雄飛之碑(西宮市上ヶ原山田町)』

2020/11/26
 甲山を背にした白亜の時計塔が印象的な関西学院。そのキャンパスを通り抜けた北側の上ヶ原八幡神社境内に、元海軍航空隊関係者の建立とされる「雄飛之碑」がある。碑の横には、錆びついたプロペラと錨も。当初はキャンパス内にあったようだが定かではない。
 関学中等部卒業生の回想録によれば、敗色濃厚な1944(昭和19)年3月15日、関学を接収した海軍が三重海軍航空隊西宮分遣隊として設置した、とある。
 キャンパスの南半分に兵舎や通信施設など5つの建物を建設。1200人の少年兵が集められた。訓練場は関学正門前に広がる松林を切り開いた広大な土地で、グライダー練習場として整地された。
 関学に航空隊が設置されるのは、「抵抗の同志社、従順の関学」と評されたように、関西学院の運営母体である日本メソヂスト教会が国策団体日本基督教団に所属し、積極的な戦争協力活動を推進していたことが背景にある。
 1989年発行の『関学の100年』には徴用されたグランドや訓練用グライダー、戦後発見された地下壕の写真のみが掲載されている。(鍋島)

【メモ】西宮市上ヶ原山田町4。阪急甲東園から10分。