新社会兵庫ナウ
水脈(2020年11月24日号)
2020/11/26
その対応ぶりがたとえ醜態と映ろうとも、言っていることがどんなに支離滅裂かと分かっていても、とにかく時間さえ稼げば批判の矛先を変え、苦境は乗り越えられる。それまではだんまりを続けることだ―。そう決め込んでいるとしか思えないような日本学術会議の任命拒否問題をめぐる菅首相の国会答弁風景だ▼「人事にかかわることなので答弁を差し控える」の一点張り。問われたことには答えず、用意されたペーパーの棒読みで同じことを繰り返す。朝日新聞の調べでは、この問題での国会審議で菅首相が答弁を拒否したのは7日間で計42回だとか▼もはや語彙不足や答弁能力とかの問題ではなく、答弁を拒否するという決意だけの問題なのかもしれないと呆れる。自ら「たたき上げ」を誇り、その自信の故か、国民には「まず自助を」と迫るのだから、相当に強固な意志の持ち主なのかもしれない▼だが、問題はそんな個人の属性のことではない。国民に説明しようともせず、野党と議論する気もないのなら、それは明らかに憲法に背き、民主主義を壊していることにほかならない。「今回は失敗だった」と後悔させられるのは、国民を愚弄し尽くす対応を許さない国民の怒りと運動の力だ。