新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ(2020年11月10日号)

2020/11/15
バスツアーの継続で生産農家と交流
 熟年者ユニオンの年間行事の1つに親睦と交流を主とする行事がある。丹波篠山への、ご当地の特産品「黒大豆枝豆」の収穫と城下町散策の日帰りバスツアーだ。
 このバスツアーは、県の外郭団体の兵庫楽農生活センター都市農村交流バスの助成を受けて実施している。農業体験と研修、視察を実施することが助成の条件とされているが、農業体験はともかく、研修、視察となれば「はてな?」となったが、篠山にこの条件を満たすにはピッタリの農家があった。公務員を早めに退職し、息子さんと専業農家を営んでいる阪東進さんにお世話になってバスツアーは10年近く続いている。
 ツアーでは、黒豆の収穫作業の後、阪東さんから講習を受ける。研修、視察のテーマは「篠山地区の農家・農業の現状」「農業の将来」「TPPと日本の農業」「国連『家族農業の10年』と篠山の農業」「種子法改悪がもたらす日本の農業」「専業農家として持続可能な機械投資」等と続いてきた。
 どのテーマも「聞いたことはあるが、あまり……」と、興味が持てずに時間を無駄に過ごすことになる人もでてくるのではと心配していたが、阪東さんの巧みなトークと研究熱心さで、それに余りも私達が知らなかったことに気づかされて熱心に耳を傾け、質問も多く出されるなど、農業の抱えている問題を身近にとらえることができるようになった。
 日本の食料自給率は年々下がり続け今や38%とほとんどを海外に頼っていること。TPPの協定により大規模農業生産国から大量に主要な農産物が輸入され、ますます日本の農業は立ちいかなくなり、その結果、農業の担い手が減って農地は荒れていくのではないかということ。そして、それは地球温暖化に結びつき世界各地で起きている異常気象と無関係ではないことなどを学んだ。「家族農業の10年」の講座では世界の農産物の80%が「家族農業」による産物であることに多くの人が驚きを感じた。
 個人的には、この行事を続けることで生産農家と消費者との交流が深まり相互理解が進むことによって私達の日々の暮らし、国のありように違った見方でアプローチができるのではないかと考えている。
加納功(熟年者ユニオン事務局長)