新社会兵庫ナウ

水脈(2020年11月10日号)

2020/11/15
 ご縁あって短歌の会のお世話をしている。一首も詠めない代わりに事務的なお手伝いをしているだけなのだが。コロナ禍、全てのサークル活動が停止中の時も詠草はできるので、皆さん毎月2首を自分の課題として詠まれていた▼ルール順守で久しぶりに開いた歌会は、互いの歌の批評を通してコロナ禍をどんな思いで乗り越えてきたかの交流となった。春から夏、秋へと移る中で不安のありか、マスクこもごも、人と話す機会が激減したこと、自分なりの発散方法等々。一方向からだけでは見えない人の思いが垣間見え、歌を印刷する役目の私は真っ先に読ませてもらう良いひと時をいただく▼さて、菅総理が漸く臨時国会を開会した。これからの社会の基本姿勢を「自助・共助・公助」と、まず自助を要求した総理は、竹中平蔵氏をブレーンに据えるなど、規制緩和、行革徹底の市場原理優先姿勢を一層明確にしている。和泉補佐官ら寵臣官僚を使い強力に異論を封じ込める姿勢も見せている▼自らを叩き上げと称して庶民代表を売り込む菅総理に、作家の辺見庸氏は「特高」の顔、かつてない怖さを感じると述べている。共助、公助なき自助が弱者を孤立させる。歌に込めた思いを受けとめるのは誰か。